僕が、現代日本で最も非人道的なものだと思うものの一つに、「満員電車」がある。
通勤ラッシュ時の駅は、まさに地獄の様相を呈している。混雑した駅には、完全に人の流れが形成され、流されるようにホームへと向かうことになる。立ち止まることも許されず流されるままに進んでいくと、自分がまるでベルトコンベアーの上を流れる製品になったような錯覚を受ける。電車がホームに到着すると、問答無用で狭い車内に乱暴に押し込まれて、そのまま会社まで運ばれていく。車内の人間は総じて疲れた浮かない顔をしており、「今日も辛い一日が始まる」という暗い気持ちになる。ナチスによるユダヤ人の強制移送を彷彿とさせなくもない。
これは一体なんなのだろうか。今は、21世紀である。そして仮にも日本は先進国を自称している。それなのに、こんな非人道的な乗り物に、週に5回も乗せられるのはおかしくないだろうか。
許せないのは、満員電車はちょっと工夫すればもっと緩和できるのに、本気でそれに協力しようとする会社がほとんどないことだ。結局、大半の会社の始業時間が8:30から9:30に集中しているから通勤ラッシュが起こるわけで、ほとんどの会社が始業時間にもっと融通を利かせれば、ここまで酷い状態にはならないだろう。前にも書いたように、必然性が無い限り、始業時間なんて廃止してしまったほうが、生産性も上がっていいはずだ。
通勤ラッシュ時に駅が混雑するのは、行楽地やイベントで駅や電車が混むのとは質的に大きく異なる。行楽地やイベントは、みんな行きたいから行っている。混雑は、まぁ折り込み済みということになる。しかし、会社はどうだろうか。みんなが自発的に、8:30に出社したくて混雑が形成されいてるわけではないだろう。会社に出社時間までに来るように強制されて、やむを得ず、本当は行きたくないのだけれど、渋々通勤しているのだ。不健全この上ない。
この非人道的な乗り物を廃止するために、早急に対策を講じるべきだと思う。東京のような人口密集都市で完全に無くすことは難しくても、今より状況を緩和することはできるはずだ。
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