「残業せずに帰りたい」とか、「満員電車に毎日乗って会社に通うのが辛い」とか言うと、決まって「甘えるな」と言ってくる人がいる。この「甘えるな」という言葉は、社畜の大好きな言葉だ。毎年、新入社員にこの手の指摘をすることが生きがいになっている性格の捻れた人もいる。
僕は、この「甘えるな」という言葉は、一種の思考停止ワードであると考えている。
世の中には、我慢しなくてもいいのに我慢している物も多い。うまくやれば回避したり、改善したりすることが可能なのに、「甘えるな」の一言で、それ以上環境をよくしようとする力が働かなくなってしまうケースも少なくない。
例えば、あなたが毎朝、始業時間の8:30までに会社に行こうとすると、満員電車に巻き込まれてものすごく辛かったとする。上司にこの事実を相談しても、「社会人なんだからそのくらい当然だろう。甘えるな」と言われてしまったら、それ以上状況がよくなる見込みはない。
仮に、あなたの上司が賢い人間で、この手の思考停止ワードを使わず、真剣に問題と向きあって、「確かに、8:30に始業だと通勤ラッシュに巻き込まれて大変だろう。うちの部署の業務内容を考えるに、全員が律儀に8:30に出勤する必要はない。フレックスタイム制を導入しよう」と決断してくれたなら、あなたの毎日の生活は大きく改善されることになる。「甘えるな」で片付けられた場合と、どっちがいいかは一目瞭然だ。
「甘えるな」、という言葉で思考停止してはいけない。みんなが我慢しているから、という理由で、あなたも我慢しなければならないということはないはずだ。うまい回避策がないか、検討してみよう。
- 作者: 土居健郎
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