脱社畜ブログ

仕事観・就職活動・起業についての内容を中心に、他にも色々と日々考えていることを書き連ねていきます。

起業したら必ず会社を大きくしなければいけないわけではない

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「起業」と聞くと、世間ではどうしても華々しいイメージが先行してしまうようだ。実際、起業家志望の人はハイテンションで、意識が高い人が多い。「AppleGoogleのような、世界一の大きな会社を創ります!」というような、普通に考えたら恥ずかしいこともスラスラと言ってのけてしまうのがこの手の人たちである。

 

僕は、このような人たちを悪いと言っているわけではない。孫正義は、ソフトバンクを創業した直後、アルバイト達の前でみかん箱の上に乗り、「我社はいずれ1兆円企業になる」と演説をしたという。そして、実際そのとおりになった。志が高いのは、別に悪いわけではない。

 

ただ、起業をする人の全員が全員、このテンションを保って起業しなければいけないとも思わない。以前、意識は高くなくても起業はできるというエントリで書いたように、起業はもっとカジュアルに、ゆるくやっていい、と僕は思っている。

 

特に、今回指摘したいのは、「会社は無理に大きくしなくてもいい」ということだ。起業直後の社長に話を聞くと、会社を大きくすることばかりに目が行っている人が少なくない。確かに、従業員が増えて、会社が大きくなれば、やれることは増える。ビジネスの規模も大きくなって、収益も上がるかもしれない。

 

しかし、会社を大きくすると、色々とよくないこともある。まず、純粋に従業員に払う給料が増える。給料は、基本的に毎月一定額を払い続けなければならない。創業直後の社員が数名で、全員がオーナーシップを持っているような場合であれば、会社の業績が悪い際には給料を待ってもらうこともできるが、ある程度の規模になってくると、そういうことがしづらくなる。収入が安定しない状態で、一時的な収益増に対応するために人を増やしたばっかりに会社が潰れるというのはよくあるパターンだ。

 

また、従業員が増えれば、それだけ動きが鈍くなる。創業直後に数名でやっていた場合と比べて、意思決定や情報伝達を行うにも、余計なコストが発生するようになる。会議が増えて、肝心な業務がおざなりになる。経営者である自分と、現場との軋轢も生じるかもしれない。

 

さらに、人が増えればそれだけの人数が入れるオフィスを借りなければならないし、社内制度も、ある程度しっかりしたものを作らなければならなくなる。そのために、それ専用の人をさらに雇ったりしなければならないかもしれない。うっかりしていると、利益は全然増えないのに、従業員ばかりが増えるという状況にすぐ陥ってしまう。こうなってしまうと、潰れるまであと一歩である。

 

会社は、大きくすればいいというものではない。むしろ、いかに人を増やさずに利益を上げるか、に注力することを僕はおすすめしたい。人を増やせばそれだけ売上が大きくなる、といったような労働集約型の事業は、個人で起業したい場合には避けておいたほうが無難だ。

 

会社が大きくなければ、大きな仕事ができないわけではない。37シグナルズの例もあるように、会社の大きさが必ずしもビジネスの大きさを意味しない。

 

起業したいと思っている人は、本当にすべきことは会社を大きくすることなのか、一度考えてみてもいいのではないだろうか。

 

小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則

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