世の中には、不思議なことに「忙しいのが好き」という人がいる。スケジュール過密の中、バリバリと仕事をこなす自分に、言ってしまえば心酔している。「仕事が好き」という人の半分ぐらいは、この「忙しいのが好き」タイプだと僕は思う。
さて、この手の人たちはバリバリと忙しい中、ひたすら仕事をこなしていくので仕事ができる人のように見えるのだが、僕はこの手の「忙しいのが好き」な人は、逆に仕事ができない場合が多いと思っている。
そう思う理由は、この手の人たちは、(1)無理なスケジュールを組みがちであること、(2)仕事の効率化に意識が向きにくいこと、(3)他人を疲弊させる可能性が高いこと、の3つである。
(1)についてであるが、そもそも、忙しいのが好きな人にスケジュールを組ませると、無茶なスケジュールを組んでくることが多い。バッファなんて考え方はなく、とにかくやれることをあれやこれやと詰め込みまくる。こうやって組んだスケジュールが破綻し、余裕のあるスケジュールを組んだときよりも仕事の質が下がってしまうということは十分にありえる。スケジュールは「忙しくならないように」組む必要があるのだ。
(2)についてだが、「忙しいのが好き」だと、仕事量を少なくしてさっさと家に帰ろう、といった考えに意識が向かない。ゆえに、非効率な業務もそのまま根性で解決されることになり、結果的に非効率な業務が放置されることになる。「忙しい」状況を作るために、わざわざ非効率的なやり方で業務をするようになるのである。
最後に、(3)についてだが、そもそも仕事は1人で完結せず、チームで行うことが多い。その際に、「忙しいのが好き」な人が1人いると、厄介なことになる。リーダーだったりしたら、もう絶望的だ。忙しい人は残業・休日出勤を厭わないので、これに巻き込まれた他のメンバーは、激しく疲弊することになる。その分、いいプロジェクトになるのかといえば、決してそんなことはない。
このように、「忙しいのが好き」な人は、仕事に対して一生懸命であるのにもかかわらず、仕事ができるとは言いがたい側面がある。
そもそも、「忙しさ」というのは結果的にそうなるというものであって、「忙しさ」自体を目的化してしまうのは本末転倒である。忙しい日々には充実感があるかもしれないが、周囲に迷惑をかけてまで充実感を得ようとするのはあまり感心しない。
仮にあなたが「忙しいのが好き」な人だったとしたら、仕事以外のプライベートでの予定を詰め込むことで、忙しさを作り出すことをおすすめしたい。そうすれば、仕事はさっさと終わらせて帰る必要が出てくるので、結果的にスケジュールは余裕を持った組み方をすることになるし、業務も効率化され、他のチームメンバーに迷惑をかけることもなくなる。
「仕事が忙しい」ことでいいことなんてひとつもない。「忙しいのが好き」な人は、「仕事以外の時間で忙しい」という状況を作ってみてはいかがだろうか。
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