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脱社畜ブログ

仕事観・就職活動・起業についての内容を中心に、他にも色々と日々考えていることを書き連ねていきます。

土曜日に授業をしても、学力は向上しない

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僕は生来の怠け者で、週休二日制でも耐えがたいので「週休三日制」を強く支持しているのだが(詳しくはこちらを参照)、学校教育の世界ではむしろこれに逆行する形の、「週6日制」なんてものの検討が始まったそうである。

 

文科省>学校の週6日制導入を検討
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130113-00000002-mai-life

 

もともと、僕も子供の頃は土曜日に半日だけ授業があって、詳しい時期は忘れたがある時を境に週休2日にシフトしたような記憶がある。昔のように半ドンを復活させるつもりなのか、それとも土曜日も全日授業をするつもりなのか知らないが、現場の生徒や教員にとっては、あまり嬉しくないニュースだと思う。

 

僕は、明確にこの方針には反対である。学力を向上させるためにとにかく授業時間を増やす、というのはあまりにも短絡的だ。学力は授業だけで向上するものではないので、休日の自宅学習の時間が削られて授業と復習のバランスが崩れ逆に落ちこぼれを生んでしまうおそれがあるし、教師の負担が増えることで授業の質が落ちる可能性だってある(教師を増やす、という話もあるようだが、単純に増やせば教師の負担が現状のまま維持できる、というのはありえないだろう)。

 

授業時間を増やしても、それが直ちに学力向上につながらないということは、以下の調査でも明らかだ。

 

学校の授業時間に関する国際比較調査(結果概要)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/005/gijiroku/03070801/005.pdf

 

この調査によると、授業時間と学力には必ずしも相関がないことがわかる。この事実自体は政策立案者も知っているはずであり、それでも授業時間を増やそうと言うのは、本当に生徒の学力を向上させたいという気持ちから来ているというよりは、ゆとり教育を脱して、学力向上のための努力をしていますよ」という姿勢を示して、世論の支持を取り付けようとしているだけなのではないか、と邪推せずにはいられない。

 

そもそも、「単純に時間を増やす」というやり方は教育にかぎらず、仕事においても最悪な方法だ。業務時間内には終わらないから残業をして片付けよう、平日だけでは終わらないから休日出勤をしよう、というのは安易な考えである。仕事であれば、時間を増やす前にまずはやり方を見なおして、業務時間内にうまく終わらせる効率のよい方法を考えたほうがいい。学力向上に関していえば、教師の教え方やクラス分けの仕方、カリキュラム自体の見直しなど、単純に授業時間を増やす前に改善すべき点は山ほどある。こういったことを後回しにして単純に授業時間だけを増やしても、生徒と教師の負担が増えるだけで、実質的な効果があるかは疑わしい。

 

ちょっと考えすぎかもしれないが、僕はこの「土曜日も授業」が実現した場合、それが「土曜日も出勤」という考え方に結びつかないかを心配している。「小学生や中学生だって土曜日も学校に行っているのに、お前は休んでいて何だ、土曜日も会社に来い」というような無茶苦茶な論理展開がなされたり、あるいはこの週6日制が当たり前の世代が会社に就職した際に、当たり前のように週6日勤務するようなことになったとしたら、それは文明の退化に近いと思う。「昔は、週に2日休んでいた時もあったんだよ」なんて話を老人が孫にしている未来を想像して、思わず背筋が寒くなった。

 

社会のベクトルが、「休みを増やす」方向ではなく「休みを減らす」方向に行こうとするのは、それがたとえ教育の分野であっても残念でならない。

 

学校って何だろう―教育の社会学入門 (ちくま文庫)

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