脱社畜ブログ

仕事観・就職活動・起業についての内容を中心に、他にも色々と日々考えていることを書き連ねていきます。

資格試験予備校の黒いビジネスモデル

スポンサーリンク

今日は、労働の話ではないのだけど、僕が大学生のころから「これ、どうなんだ?」と思っていることを書きたいと思う。資格試験予備校のビジネスモデルについてである。

 

資格試験予備校というのは、LECやTAC、Wセミナー伊藤塾などのことだ。こういった予備校では、司法試験や司法書士弁理士宅建などなど、様々な資格を取得するための講座が開設されており、資格取得を目指す人たちがせっせと通っている。

 

恥ずかしながら告白すると、僕も大学在学中に通っていたことがある。一時期、血迷って司法試験を受けようと思っていたことがあり、司法試験用の講座を受講していたのだ。そもそも僕は法学部生ではなかったし、法学部生であっても、司法試験を目指す人のほとんどは予備校に通っていた。だから僕も、右へならえで予備校通いをすることに決めた。

 

資格試験予備校の多くは、月謝制ではない。基本的に、最初に大金をドカンと振り込む。予備校側はやたらいろんな講座がセットになっているものをすすめてきて、僕は嫌な予感がしたので単科で申し込むようにしていたが、周りの友人などはいきなり100万円で2年間分の講座がセットになったものなどを、気前よく申し込んだりしていた。

 

そして、実際に講座が始まると、かなりの人が最後まで受講せずにフェードアウトすることを知った。100万円ほどの高い講座を申し込んだ人の多くが、実際には全部受講することなく予備校を去ってしまうのだ。僕のいた大学の例だと、1年生の段階で「司法試験を受けたい」と意気込んでいる人は非常に多かったが、そのうち4人に3人ぐらいは、結局予備校に行かなくなって、進路を就職に切り替えたりする。

 

こうやって進路を切り替えた人が最初に振り込んだ大金は、基本的には返ってこない。頑張ったら少しは返してもらえるのかもしれないが(窓口に言ってひたすらゴネるなど)、そもそも挫折した人は後ろめたさからかあまり返金しろと予備校に迫ったりはしない。

 

この事実から、資格試験予備校の収入の多くの部分が、挫折した人によって賄われているのではないか、というおそるべき仮説が立てられる。これが何割になるのかは予備校側がデータを出さない限りわからないが(そして、絶対出してこないだろう)、講座が最終回に近づくにつれて人がどんどん減っていくことなどを考慮するに、収益のかなりの割合が挫折者の払い込みによって成り立っているのではないかと推測される。これは、かなり黒いビジネスモデルだと言わざるをえない。実際に講座を受けている人によって成り立っているというよりかは、一時期の過剰なやる気によって受けられもしない講座を申し込んでしまった人によって、予備校の経営は成り立っているのである。

 

そもそも、大学に入学したばかりで、まだ実際に大学生活にも慣れていない学生に対して、司法試験や公務員試験の講座を勧めるという行為は、かなり悪どいと僕は思う。以前、働きたくない僕が考えた最良の学生生活プランという記事の中で、「早すぎる最適化は諸悪の根源」という話を書いたが、これは「早すぎる最適化」を迫るもの以外の何物でもない。その後、大学生活を送る過程で高確率で進路変更が行われることを分かっていながら、とりあえず全部セットの高額な講座に申し込ませて、あとは返金もせず知らん顔、というのは詐欺に等しいものがある。大学生諸君は、間違っても1年生の4月の段階で予備校の講座を申し込もうなどとは思わないようにしてほしい。

 

資格試験予備校以外に、英会話スクールなども実際にはこれと同じように、「挫折者」で儲けている部分が少なからずあるような気がする。挫折者は、自分の意志の弱さに対して後ろめたさがあるので、あまり強く返金を申し出たりしないことが多いが、収入の大部分が挫折者に依存しているのだとしたら、それは人の心の弱さにつけこんだビジネスということになるのではないだろうか。

 

昨年の7月、大学受験予備校である「北九州予備校」を、大分県消費者問題ネットワークが中途退学で返金をしないという契約は違法だとして、提訴するという出来事があった。北九州予備校は大学受験の予備校だが、話はそのまま資格試験予備校にも当てはまると思われる。このことがきっかけで、少しは状況がよくならないものかと考えている。 

 

ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書

ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書