脱社畜ブログ

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『生命保険のカラクリ』:保険という人生で二番目に高い買い物について

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ちょっと前に、医療保険についてのエントリがはてなブックマークを賑わせていたことがあり、その際に保険についてもう少し知りたいと思って買った一冊。先日読み終わったが、予想をはるかに上回る良書だったのでここで紹介したいと思う。

 

生命保険のカラクリ (文春新書)

生命保険のカラクリ (文春新書)

 

筆者の岩瀬大輔氏は、ライフネット生命代表取締役副社長である。もろ業界の人であるがゆえに、多分にポジショントークが含まれているはずだ、と警戒してしまう人も多いと思う。実際、一切のポジショントークが無いとは言い切れない面があるのだが、それでも本書は保険という金融商品について、業界の人からは到底語られなかった部分まで踏み込んで書いてあり、非常に好感が持てる。業界にベッタリのファイナンシャルプランナーに相談したり、アフィリエイト目的の保険比較サイトの記事を読むくらいだったら、本書を一冊読んで保険について勉強をすることをおすすめしたい。

 

保険というのは、その本質的な仕組み自体は小学生でも分かるぐらい単純である。みんなからお金を募って、そのお金から、不幸にも保険事故にあってしまった人に保険金を払う。本来はこれだけであるはずなのだが、日本の保険は到底これだけとは思えない程度に複雑度が増している。「シンプルな保険」というのはあまりなくて、あれやこれやと色んな保障や特約が福袋のごとくつめ込まれていて、これでは他社の保険と比較しようにもどっちが得か、というのがよくわからない。「どうせ、大差はないのだろう」と勝手に思い込んで、知り合いに保険外交員がいるからという理由でその会社の保険に義理で加入したりする。日本の今までの保険業界は、このように商品のことを消費者がよく理解していないのに買われるという不思議な世界だったのだ。

 

忘れてはいけないのが、保険は非常に高額な商品だ、ということだ。月々の保険料自体は少額に見えるかもしれないが、満期まで払い続けることを考えると、合計額は1000万を超えるものも少なくない。保険は人生で二番目に高い買い物だ、という話もある(一番目は家)。1000万円の買い物を、よく検討もせずに行う人は普通あまりいないと思うが、不思議なことに保険の場合だけは、商品の内容もよく調べずにこれだけの高額な買い物をしてしまう人があまりにも多い。

 

賢い消費者になるためには、このような保険のカラクリについてはぜひとも知っておく必要がある。本書は、そのような保険の入門書として最適だ。保険の基本的なお金の流れから、保険会社がどうやって利益を出しているのか、そしてバブル崩壊や最近の金融危機によって、保険会社の主力商品がどのように変化してきたのかをざっくりと知ることができる。

 

なお、本書は『生命保険のカラクリ』という題であるが、医療保険についても言及されている。公的医療保険制度が充実している我が国において、医療保険に入る理由が果たしてあるのか、ぜひとも考えてみてほしい。例えば経済評論家の山崎元さんあたりは、医療保険に入ることはまったくバカバカしいと一刀両断している。

 

ちなみに、同じ著者で『がん保険のカラクリ』という本が最近出たようであるが、本書と重複するところもあるようなので、読むのはどちらかでよいのではないかと個人的には思う。

 

保険の加入を検討している人はもちろん、既に保険に加入している人、あるいは保険業界に興味がある就活生の方などなど、本書は幅広く読まれてしかるべきな一冊である。本書で、保険との賢い付き合い方を知ってもらいたい。