脱社畜ブログ

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『ノマドと社畜』:ノマド論の白眉

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メイロマ(@May_Roma)さんの愛称で知られる谷本真由美さんの著書ノマド社畜をやっと読んだ。

 

ノマドと社畜 ~ポスト3・11の働き方を真剣に考える

ノマドと社畜 ~ポスト3・11の働き方を真剣に考える

 

最近、「ノマドになって自由に生きる」とか、「そうやって自由に生きるとか言ってるけど実際にはそれはかなり危険だからやめておけ」とか、そういう論争が盛んになされているが、本書はそんなノマド論の白眉と言える存在だと読んで思った。非常にわかりやすく、実例豊富に「ノマド」の真実が書かれている。

 

ちなみに、結構勘違いしている人がいるので念のため言っておくと、僕はノマドを無条件に賛美する立場ではない。「脱社畜とか言っているから、会社を辞めて自由に生きろって意見なんでしょ」と早合点する人がたまにいるのだけど、それはかなり危ない考え方だと思っている。僕は、現代日本に漂う会社に尽くすとか、会社に感謝するとか、そういう価値観は木っ端微塵に打ち砕きたいと思っているが(これを「精神的脱社畜」と自分は呼んでいる)、全員が全員、会社で働かなくても食べていけるとはさすがに思っていない。もし経済的にも脱社畜したいと思っているのであれば、まずは会社を辞めずにプライベートプロジェクトから始めることを僕はおすすめしている。

 

話を本書の内容に戻すと、本書はそんな「ノマドブーム」の危険性と現実を指摘した上で、本当に「ノマド」になるための必要な能力を定義し、それの身につけ方について論じている。また、日本と海外の社会や労働形態の比較などについても、データを交えて論じており、日本の労働がいかにガラパゴス化しているのかを知るのにも本書は役に立つ。

 

本書で紹介されているノマドの実例を見ると、ノマドに必要なものは「セルフブランディング」でも、「電源が使えるカフェの知識」でも無いことがわかる。何よりも必要なものは高度な専門性と、引き受けた仕事を完遂するというプロ意識である。そういう意味で、ノマド「傭兵」であり、自分という一人会社を経営する「経営者」でもある。ノマドブームに乗っかった本を一冊読んだり、セミナーに出たりしただけでなれるような、生易しいものではないのだ。

 

他に本書で取り上げられている、「無言の圧力による相互監視」がはびこる日本の職場への批判や、ダブルワークの推奨などは、完全に僕の考えと同じだ。こういった内容は日本で働く全ての会社員が知っていてもよいと思うことなので、別に「ノマド」を目指そうとしていないという人にもおすすめできる。

 

本書は、学生や若い会社員向けということで、非常に平易で読みやすく書かれている。もし、「ノマド」に少しでも惹かれるものがあるという若い学生さんや会社員の方は、ぜひとも読んでみてほしい。ノマドへの道は決して平坦な道ではない。その道を歩む「覚悟」が果たして自分にあるのか、本書を読んで自らに問うてみるとよいだろう。