脱社畜ブログ

仕事観・就職活動・起業についての内容を中心に、他にも色々と日々考えていることを書き連ねていきます。

多くの企業が求めるのは「おもしろい人」より「無難な人」

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以下は、昨日話題になっていた増田の記事。

 

オヤジ面接担当のぼやき。最近の学生はつまらないやつが多い。
http://anond.hatelabo.jp/20130911022635

 

この記事にはつまらないと感じる具体的な理由は書かれていないし、原因を学生の側にしか求めていないという時点で説得力も低く、これでは本当に「ぼやき」でしかないと思うのだけど、そもそも前提として企業が「つまらない人」ではなく「おもしろい人」を求めているのかは、ちょっと考える余地がある。

 

「つまらない人」と「おもしろい人」のどちらと一緒に働きたいかと問われれば、それは間違いなく「おもしろい人」と多くの人は答えるだろう。たしかに、「おもしろい」ということは人を評価する際にプラスに作用する要素のひとつではあると思う。

 

ただ、会社は別に「おもしろさ」だけで回っているわけではない。仮にその学生がとてもおもしろかったとしても、顧客先で非常識な行動を取るような可能性があったらそういう学生を採用するわけにはいかない。「おもしろさ」というのは多くの場合加点事由であって、実際には真面目さや勤勉さのほうが評価されるほうが圧倒的に多い。

 

 

特に大きい会社の採用ほど顕著な傾向にあると思うのだけど、企業の採用というのは基本的に「すごい人を落とさないようにする」というよりかは「ヘンなヤツを採ってしまわないようにする」というポリシーで運営されている。ビジネスモデルが確立されている業種であれば、別に天才的な人を取れなくてもそこまで痛手ではない。一方で、「ヘンなヤツ」を採ってしまったらそれは後々まで大きな打撃になる。それゆえ、採用活動はどんどん防衛的になる。

 

もちろんテレビ局であるとか、出版社であるとか、そもそもの採用人数がとんでもなく少ない会社では「無難な人」では内定は貰えないわけだけど、こういう会社に入れる人は就活生全体の中でもほんの一部だ。結局、就活生の多くは「無難な」やり方で内定を取るし、企業もそういう無難な学生たちを多く採用している。

 

それゆえ、仮に最近の学生が、(面接の場では)つまらないように感じるとしても、その責任は学生ではなく就職活動の構造自体にあると言えるのではないだろうか。学生が面接でつまらない受け答えばかりするのだとしたら、その理由の一端はそういう人たちばかりを今まで採ってきたという経緯にはないだろうか。

 

もちろん、元記事にもあるように実際には面接官のフィーリングが作用することは多いだろうし、そういう意味では就職活動なんて単なるくじ引き大会みたいなものだとは思う。最近の学生は云々と、採用担当者が世代論を語ることに、あまり意義があるようには思えない。

 

そもそも、若者のやっていることなんて、ある程度年齢が上の人から見たら等しく「つまらない」ものに見えるだろう。

 

最後に、山本五十六の有名な言葉を引用しておく。

 

実年者は、今どきの若い者などということを絶対に言うな。 なぜなら、われわれ実年者が若かった時に同じことを言われたはずだ。 今どきの若者は全くしょうがない、年長者に対して礼儀を知らぬ、道で会っても挨拶もしない、いったい日本はどうなるのだ、などと言われたものだ。 その若者が、こうして年を取ったまでだ。 だから、実年者は若者が何をしたか、などと言うな。 何ができるか、とその可能性を発見してやってくれ。

 

聯合艦隊司令長官 山本五十六

聯合艦隊司令長官 山本五十六