脱社畜ブログ

仕事観・就職活動・起業についての内容を中心に、他にも色々と日々考えていることを書き連ねていきます。

仕事の分担が下手な組織、多すぎませんか

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前回(「生産性の概念の欠如」はなぜ起こるのか)に引き続き、今日も組織の生産性について少し考えてみたい。

 

前回は、日本型の組織ではそもそも個人レベルで生産性を上げるインセンティブがないという点について言及したが、組織の生産性が上がらない理由は他にもある。一言で言ってしまうと、生産性が低い組織は、多くの場合仕事の分担が下手だ特に、組織が大きくなればなるほど、ヘンテコな仕事の分担が目立つようになる。組織全体で適切な仕事の分担がされないと、どんなに個人が生産性を意識するようになっても、組織の生産性が低いという状況はなかなか改善されない。

 

ある程度のサイズの組織を眺めていると、「タスクの偏在」を実感することがよくある。組織の構成員全体に均等に仕事が割り振られている、という状態は基本的にはあんまりない。これは公務員になった知り合いに聞いた話なのだけど、その人は毎日自分のする仕事がなくて途方にくれているという。一方で、他の部署には殺人的な業務量を課せられて、毎日残業続きでつらい思いをしている人もいるという。これは端的に言えば、人員配置をミスっている。

 

もっとも、では忙しい部署に暇な部署から人を大量に投入すればそれで解決かというと、そういう単純な話でもない。1人でやっていた仕事を2人でやるようになれば半分の時間で終わるようになるかというと、決してそうとは言えないからだ。超単純作業だったら、人を2倍に増やせば生産性も2倍というシンプルな話で片付くけれど、実際に会社で行われている仕事の多くはそういう算数が通用しない程度には複雑だ。人を増やせばコミュニケーションの手間もかかるし、業務知識が無い人をプロジェクトに入れればその人の教育に新たに人員を割かなければならなかったりする。『人月の神話』で書かれている「遅れているプロジェクトに新たに人を投入すると、プロジェクトはさらに遅れる」という話は、ほとんどの場合正しくなる。

 

「タスクの偏在」は、仕事がきれいに分担できないために起こっているという場合も多い。仕事には、もうこれ以上分担すると逆に生産性が下がってしまうというようなサイズがある。そういう仕事に人を大量投入してしまったりすると、もう最悪だ。ひとりでやれば3日ぐらいかかる仕事を、10人で1ヶ月かけてやったり……という笑い話のようなことすら現実に起こりうる。

 

ある仕事を分担する時は、その仕事がそもそも分担に適するか、何人ぐらいでやるのが適切なのか、意思決定者は誰なのか……といったことをかなりしっかり考慮してやらないと、人はかかっているけど全然仕事が進まないという残念な状態に陥る。大組織の場合、こういう残念な状態に陥ってないほうが逆に珍しい。これは、もしかしたら組織のサイズに内在する限界なのだろうか。

 

結局は、小さなチームが最強ということになるのかもしれない。どうせ、仕事のうまい分担なんてできるはずがない。それなら、いっそのこと分担しなくていいぐらいのサイズで仕事をしよう――という考え方は、状況によってはかなり有効なように思える。小さな会社が大きな会社に勝てるチャンスがあるのは、そういうところなのかもしれない。

 

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