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脱社畜ブログ

仕事観・就職活動・起業についての内容を中心に、他にも色々と日々考えていることを書き連ねていきます。

有給休暇の買い取り解禁で本当に年収は上がるのか

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数日前に話題になっていた以下の「有給買い取り解禁論」について。

 

有給休暇買い取り解禁すれば取得日ゼロの人は年収37万円増も
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131021-00000009-pseven-soci

 

この記事でも言及されているし、拙著『脱社畜の働き方』にも少し書かせてもらったのだけど、日本人の有給休暇消化率は諸外国と比べて実際かなり低い。多くの人が、付与された有給を使い切ること無く消滅させてしまっている。有給が使えないまま消えていくのを、ただ見ているだけというのは非常に切ない。「どうせ使えないのであれば、せめて買い取ってくれよ」と思いたくなってしまう気持ちは現場レベルではよくわかる。

 

現状では、有給休暇の買い取りは退職時の一括消化の場合などを除いて禁止されている。元記事は、これを高度経済成長期にできたルールであり今は妥当しないと指摘する。正当な対価で使えない有給を買い取らせれば、現行制度にそれほど手を入れず簡単に賃上げが実現できる――というのが元記事の主張のようだ。

 

元記事の言うように、有給休暇の買い取り解禁で本当に賃上げは実現されるのだろうか。もしかしたら、短期的には効果が出るかもしれない。例えば、制度の導入年次に限っては、全体的に平均年収が上向くということはありうるだろう。しかし、それが長期的に続くとは到底思えない。いずれ有給の買い取りを前提とした金額に、賃金が調整されるであろうことは誰にだって想像できる。有給を買い取らなければならなくなった分、従業員の給料を下げようとするのは当然だろう。企業が、コスト増をただ手をこまねいて見ているだけということはありえない。

 

「残業をして、残業代をもらわないと生活できない」という低い賃金で働かされている人がいるというが、今度は「有給は使わずに、全部会社に買い取ってもらわないと生活できない」という人が発生するかもしれない。買い取りを解禁したら、ますます有給は「使わないのが普通」になっていくだろう。やはり、僕は単純な有給休暇の買い取り解禁論には賛成しかねる。

 

そもそも、「どうせ有給は取れないのだから、せめて買い取ってもらおう」というのはだいぶ目線が低い施策ではないだろうか。改善すべてきはやはり「有給が十分にとれない」こと自体であって、とれないことを前提に妥協策のようなものを考えるのは、不適切な状態を「それでいい」と認めるのと同じで、違和感を覚えずにはいられない。そして、一度「それでいい」と認めてしまったものは、まず元には戻らない。

 

そもそも、国は有給消化率を上げるための施策を、ほとんど何も打っていない。例えばこれはジャストアイディアだけど、有給消化率のよい企業を税制面で優遇するとか、あるいは極端に低い企業にペナルティを課すとか、そういう実効性が望めそうな施策はいくつか思いつく。ほとんど何も手を打たずに、「どうせ有給は取れないものだ」という前提でその上に制度を作ってしまうようなことは認めるべきではない。

 

有給休暇の買い取り解禁は、言ってみれば有給全取得に対する「あきらめ」だ。「どうせ有給は取れないものだ」と社会全体であきらめてしまうには、まだ早い。

 

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