脱社畜ブログ

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2ちゃんねる転載禁止騒動を「可処分時間の奪い合い」という視点から考える

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2ちゃんねるで「転載禁止」のローカルルールを設定する板が相次いでいることで、いわゆる「2ちゃんまとめサイト」に激震が走っている。

 

2ちゃんねる「転載禁止」の流れが拡大 大手まとめブログ「痛いニュース」も巻き込まれる : J-CASTニュース

 

「転載禁止」のルールがまだ敷かれていない板の書き込みをまとめたり、twitterユーザーの反応をまとめたり、出処のよくわからない「ネットの反応」を載せてみたり、対応方法はサイトによってさまざまだが、いずれも読者の多くはこれらのやり方に対して「迷走」という評価を下しているようだ。コメント欄も荒れに荒れている。

 

今回の騒動は、構造としては普通によくある話だ。たとえば、何らかの外部APIに依存するようなWebサービスを運営していたとして、APIの提供が終了すればそのサービスは死ぬ。あるいは、今僕はこうやってはてなブログを使ってブログを書いているが、これだってはてながサービスの提供を終了したら更新はできなくなるし、ログも消える(別のブログサービスを探せば引っ越しはできるけど)。外部サービスを使えば、その外部サービスに依存する部分が影響を受けるのはあたりまえだが、2ちゃんまとめの場合はあまりにも依存が強すぎた。

 

2ちゃんまとめは、「他人のコンテンツを転載して、それでアフィリエイト収入を得るのは許されるのか?」という視点で語られることが多いトピックだが、この記事では少し別の視点から考えてみたい。仮に、このまま転載禁止により2ちゃんまとめが衰退していったとして、今まで2ちゃんまとめに消費されていた人々の時間はどこに行くのだろうか。「可処分時間」という視点から、今回の転載禁止騒動を考えてみる。

 

2ちゃんねるの本家を読んだり書き込んだりしている人以上に、2ちゃんまとめを見ている人はたくさんいる。SNSをスマフォでちょっと見る程度というライトなネットユーザーも、(時には、それが2ちゃんまとめだということも知らずに)タイムラインに流れてきた2ちゃんまとめの記事を読んだりしている。2ちゃんまとめは大手になると月間1億PVを超える場合もあるという。そう考えると、2ちゃんまとめの閲覧に費やされる時間の総和は膨大だ。

 

「可処分時間の奪い合い」という考え方がある。1日は24時間あるが、多くの人はその24時間を全部自分の好きなことだけに使えるわけではない。ご飯も食べなければならないし、睡眠も取らなければならない。サラリーマンなら仕事に行かなければならないし、学生なら学校にいかなければならない。そうやって自由にならない時間を24時間から引いた残りが、1日の可処分時間になる。その可処分時間を、さまざまな娯楽が奪い合っている。たとえば、テレビ、本、マンガ、ゲーム、…そして2ちゃんまとめを含むネット。

 

「可処分時間の奪い合い」という考え方でいくと、時間を使う娯楽は基本的にどれもライバルということになる。ゲームに消費する時間が増えれば、その分本を読む時間は減る。ネットをする時間が増えれば、テレビを見る時間が減る。これは「ネット」というひとつのカテゴリの中においても言えて、例えばfacebookをする時間が増えれば、その分twitterに費やされる時間は減る。

 

2ちゃんまとめサイトの衰退は、今まで2ちゃんまとめに奪われていた膨大な時間を、再度可処分時間として解放することを意味している。これは市場の誕生に近い(あくまで消費されるのは金ではなく時間なのだけど)。この時間をどの娯楽が奪うことになるか、と考えると結構面白い。

 

今まで2ちゃんまとめを見ていた人のニーズをぴったり満たせるような、まさに「ポスト2ちゃんまとめ」と言えるような存在が出てくれば、その存在がこの新たに生まれた時間を奪うことになるだろう。ピッタリはまるものがなければ、その時間は他の娯楽に分散消費されることになる。「twitter反応まとめ」や「出処のよくわからないネットの反応まとめ」が新しく生まれた時間を奪うのにふさわしいかは、個人的にはかなり疑問だ。2ちゃんまとめが見れないなら、ソーシャルゲームをやる時間を増やそうとか、twitterにつぶやく時間を増やそうとか、そういう方向に動く人がいないとも限らない。

 

さすがに2ちゃんまとめのトラフィックが即時なくなるということはないだろうから、今日明日でどうなるという話ではない。もっとも、「可処分時間の奪い合い」競争は苛烈であるがゆえ、1年もすれば構造はガラリと変わっているだろう。今後、2ちゃんまとめがどうなっていくか、純粋に興味は尽きない。

 

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