生きていれば時折、年長者にアドバイスを受けることがある。助言をしてくるのは自分の親かもしれないし、大学の教授かもしれない。就職活動中でも、会社に入ってからでも、あるいは、起業した後でも、あらゆる機会で人生の先輩は若者に対して助言をしてくる。
アドバイスしてくれるのはとてもありがたいことだし、自分より数十年長く生きている人の言葉には重みがある。わざわざ自分のような若輩者に、時間を割いてアドバイスをしてくれる人には感謝してよいと思う。
ただし、基本的にこの手のアドバイスに従う必要はない。アドバイスをしてくれたという事実には感謝しつつ、中身自体は話半分に聞いておくのが得策である。
なぜこんなことを言うのかというと、年長者のアドバイスというのは、時代という観点が欠けている場合が多く、そのまま現在に当てはめると全然妥当しないことが多いからだ。年長者の助言の黄金パターンである「自分の若いころは◯◯だった。あの時、△△していたらよかったと思う」→「だから、お前も△△するべきだ」というのは、論理としてはかなり乱暴だ。年長者の若い頃の◯◯が、今も同じであるという保証はない。就職や結婚のような、年長者がアドバイスしたがる分野では、変化が特に顕著である。団塊世代の価値観と知識で、今の就職活動に意見を述べられても的はずれなのは当たり前だ。
人間は、どうしても自分の経験を一般化したがるし、歳を取ると、変化に対応する力が落ちてしまう。現代を一番よく判断できるのは、現代に生きる人間だ。最終的には、自分で情報を集めて、自分で判断するしかない。
このことは、年月を経て、自分が年長者となり若者にアドバイスをする際にも覚えておくといいと思う。自分の語ろうとしている経験は、果たして今も妥当するのか、一度疑ってみると身のある話ができるようになるかもしれない。「最近の若者は常識を知らない」と嘆く前に、常識自体が変化していないか考えてみることが必要だ。
老害と言われる存在にはならないように気をつけたいものである。

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