脱社畜ブログ

仕事観・就職活動・起業についての内容を中心に、他にも色々と日々考えていることを書き連ねていきます。

奴隷労働を強要して人を殺しても、書類送検で済んでしまう今の日本

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茨城県笠間市の和菓子製造会社が、社員を過労死に追い込んだ事件で、その社長と会長が書類送検されたことが話題になっている。以下に、ニュースの内容を転載しよう。

 

水戸労働基準監督署は1日、男性社員に13カ月間で3日しか休日を与えなかったとして、労働基準法違反の疑いで、茨城県笠間市の和菓子製造会社「萩原製菓」と男性会長(69)、女性社長(54)を書類送検した。

労基署によると、社員は昨年8月30日、仕事を終えて帰宅後に倒れ、心室細動により、同9月1日に30歳で死亡。今年2月、過労死が認定された。

送検容疑は、労基署に労働協定の届け出をせずに、平成22年8月から死亡直前の昨年8月までに休日を3日しか与えず、計53日の休日労働をさせたとしている。会長と社長は容疑を否認している。

タイムカードには毎月100時間以上の時間外労働が記載されていたが、会社側は「休憩を取っていた」と否定し、確認できなかったという。

MSN産経ニュースより 強調は日野瑛太郎)

  

この記事によると、過労死に追い込まれた社員は、13ヶ月間で休みがたったの3日だけしか与えられず、毎月の時間外労働は100時間以上に及んでいたという。はっきり言うが、これは人間の行う労働ではない。ニュースから分かることは限られているのでこれは想像になるが、この社員は1年以上、プライベートで友人や家族と会う時間もほとんど捻出できず、ひたすら過酷な労働に従事するしかなかったのではないだろうか。誰かに相談しようにも、こんな状態では相談する時間も確保できなかっただろう。これはもう、奴隷労働そのものである。

 

そして、驚くべきは、過労死認定がなされたものの、その原因を作ったであろう社長と会長は書類送検で済んでいるということである。13ヶ月で休みが3日という労働が、どれだけ過酷であるか常識的に考えれば分かるはずで、体や心を壊す可能性が高いことは十分に予見できたはずである。これはもう、ほとんど殺人と変わらない。しかし、奴隷労働に追い込んで人を殺しても、せいぜい今の日本では書類送検ぐらいにしかならないという悲しい現実がある。

 

こんなに酷い状態になる前に、なぜ辞めなかったのかと思う人もいるかもしれない。しかし、そういうふうに考えられる人ばかりではない。日本の仕事観では、自分の仕事を途中で放って逃げることは責任感のないこととされている。真面目な人ほど、このような考え方に囚われて、追い込まれてしまう。ワタミの160時間残業で過労死に追い込まれた女性も、大変真面目な人だったそうである。真面目な人にとって、会社を辞めるというのは決して簡単なことではない。僕だったら、こんなところで働かされたら3日ぐらいで逃亡すると思うが、中には責任感とか社会の圧力のようなものに囚われて、辞めるという選択肢すら浮かばない人だっている。

 

僕が許せないのは、このような真面目な人達の考え方につけ込み、平気で前記のような奴隷労働をさせる使用者である。このような人たちには厳罰をもって望むべきだと思うのだが、日本の法律ではどうもそうは行かないらしい。

 

もし、労働環境が劣悪で、精神的に追い込まれている人がこのブログを読んでいるとしたら、僕がアドバイスをしたいのは、以前も書いたが「逃げてもいい」ということだ。仕事を途中で放り出すのは責任感がないとか、会社を辞めるともう再び正社員になるのは難しいとか、そういうふうに考えて八方塞がりの状態になっているのだったら、とにかく逃げて欲しい。あとのことは、逃げてからゆっくり考えればいい。健康を壊したら、元も子もない。

 

仕事なんかに殺される人が出ない社会の到来を切に願う。

 

マジで使える労働法―賢く働くためのサバイバル術 (East Press Business)

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