大学に入学した直後の1年生のうちから、就職活動の準備に熱心な学生がたまにいる。彼らは、学生団体に所属したり、企業と学生の交流会のようなイベントに参加したりして、講義にも出ずに就職活動の前哨戦にのめり込んでいる。
このブログでは常々主張していることなのだけど、そもそも大学は就職予備校ではないわけで、勉強をしないで就職活動の準備みたいなことを必死にやっている学生を見ると、なんというかものすごく悲しい気持ちになってしまう。
大事なことなので強調しておくが、「大学時代に、◯◯をやっていると就活に有利になる」というのは完全に幻想だ。就活で内定がもらえるかどうかというのは、ある活動をしていたという1つの事実のみで、画一的に決まることはない。「学生団体でリーダーをやっていた」という一文だけを持って内定を出すような人事がいるとしたら、僕はその会社は遅かれ早かれ傾く運命にあると思う。
大学時代に何を頑張るか、というのは各人が思い思いに決めたらよいと思う。しかし、「就活に有利だからあれを頑張ろう」とか、「就活には不利だからあれに時間を使うのはよそう」みたいな考えがあるのだとしたら、そういう考えは即座に捨てるべきだ。
そして、特に頑張ることがなくて困っているという人は、とりあえず勉強を頑張ることを僕はおすすめしたい。講義に出ろとは言わないから、自分の興味がある分野の本などを読んだりして、少しでもいいから学問に触れて見るとよいと思う。そうすると、色々な発見があるものだ。それが社会に出てから役に立つとか、役に立たないとか、そういうことは気にしなくてよい。一見、役に立たなそうな気がしていたことが会社員生活の中で役に立つことも当然あるし、たとえ役に立たなくても、学問は人生を豊かにしてくれる。
勘違いしないように付け加えておくと、これは別に「勉強して資格を取れ」という意味ではない。資格はそもそも実務的な側面が強く、学問とはベクトルがやや異なる。一部の超難関資格を除けば、資格なんてとっても基本的に就職活動で有利になることはないということは、知っておいたほうがいい。
就活なんかに惑わされずに、どうか有意義な学生生活を送ってほしい。

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