昨日、「幸せになるために必要なお金は人それぞれだ」という内容の記事を書いたが、今日も、これについてもう少し考えてみようと思う。
唐突だが、1つ質問をしたい。あなたは年収1000万円の人が、年収500万円の人より2倍幸せだと思うだろうか?これにはおそらく、大半の人が「No」と答えるのではないかと思う。年収と幸福量が、単純な比例関係に無いことは、世の中を見回せばなんとなく分かる。お金をたくさん稼いでいる人は、いい家にも住んでいるし、いい車にも乗っているかもしれないが、こういう生活を実現していくことで、幸福が線形でグングン上昇していっているとはちょっと考えられない。
年収と幸福の関係は、大雑把にモデル化すると、たぶん以下のグラフのようになるんじゃないかと僕は常々思っている。
ある一定額αに達するまで、年収と幸福量は比例関係にある。しかし、αを超えたあたりから伸びは鈍化し、稼いでも稼いでも、そんなに幸福にならないという状態が続く。
このαが果たして年収何万円なのか、というのは人それぞれ、価値観によって異なるのだと思う。そして、僕が重要だと思うのは、自分にとってこのαの値がいくらなのか、ということを自分でしっかり認識しておくということだ。今まで一度も考えたことのない人は、このことを考えてみることを薦めたい。
そして、今の自分の年収と、αを比べてみよう。そうすると、自分が今必要以上に稼ぎすぎているのか、あるいはまだ満足できるだけのお金が稼げていないのかがよく分かる。仮に、稼ぎすぎているとして、仕事から結構なストレスを受けていると感じるのだったら、それは仕事内容を見直す時なのかもしれない。
基本的に、年収500万円の人が年収1000万円になっても2倍幸福にはならないが、年収を2倍にするには、まぁ2倍ぐらいは頑張る必要があると思う。仕事を頑張ることがそのまま自分の幸福につながる、という人はそのまま頑張るのが最適戦略になると思うが、そうでないという人はどこかで割にあわない状態が訪れる。そうならないためにも、αを超えたら「働きすぎない」ということに考えをシフトしていくことは、自分を守るという観点でも重要だと思う。
低賃金で過酷な労働を強いてくるような職場は論外として、働きに応じて給料がもらえる職場に勤めている人でも、あるラインを超えたあたりからどんどん働くのが辛くなっていくということは十分にありえる。そういう時は、ちょっと意識の重点を「いかに働くか」ということから、「いかに働かないか」ということに移動してみてはいかがだろうか。それで新しい道が開ける可能性がある。
また、今の年収がαに届かずに不幸だ、という人は、一度自分で設定したαの値を見直してみるのもいいかもしれない。無駄な生活費などを無理のない範囲で節約していくことで、思っていたよりも自分のαの値は小さいということに気づくこともあるだろう。年収を上げるのは色々と大変だが、αの値を見直すことは割と簡単にできる。
何事も、過ぎたるは及ばざるが如しである。稼げば稼ぐだけ幸せになれるわけでもない。みなさんが自分にとっての最も幸福な収入と仕事量を見極めて、無理せず毎日楽しい生活を送れることを願っている。
- 作者: 山崎 寿人
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/06/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 11人 クリック: 244回
- この商品を含むブログ (29件) を見る