脱社畜ブログ

仕事観・就職活動・起業についての内容を中心に、他にも色々と日々考えていることを書き連ねていきます。

成長とかいらないからまずは残業代ちゃんと払えよ

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ネットを徘徊していたら、次のような若者離職率についての記事が話題になっているのを見つけた。

 

若者離職率を初公表 業種で大きな開き NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121031/k10013152371000.html

 

この記事によると、教育、学習支援業と宿泊業、飲食サービス業で48%、次いで生活関連サービス業、娯楽業が45%と、いわゆるブラックな業界での離職率が飛び抜けて高い。ある意味予想どおりの結果だ。逆に、製造業などは15%にとどまっている。

 

僕がこの記事で酷いと思ったのは、若者の人材育成に詳しいという専門家の分析である。

 

離職率が低い製造業などは、一人前の技術を身に着けるまで企業が時間をかけて育てていくのに対して、離職率が高い飲食業などのサービス業は、入社直後から現場に出て自分で経験を積んで学ぶということが多い。このため、なかなか成長を実感できず、悩んで辞めてしまうケースが多いのではないか」

 

この人によると、サービス業などの離職率の高さの原因は、「成長実感のなさ」にあるということになっているらしい。これは的外れにも程がある。

 

飲食業などのサービス業の離職率の高さの原因は、言うまでもなくその労働環境の劣悪さにある。残業代や休日出勤手当も満足につかず、労働時間に対してもらえる賃金はあまりにも低い。おまけに日本の消費者の要求水準はおそろしく高く、従業員は給料に見合わない過剰サービスを求めらる。成長云々以前に、「働きに見合ったお金をもらう」という労働契約の根幹が守られていないから、若者はさっさと会社を辞めるのだ。成長なんて労働の完全なおまけである。基本的なところが守られていないのに、成長云々言ってもどうしようもない。

 

逆に、すぐに成長を持ち出す企業は警戒すべきでもある。従業員の成長を謳うサービス業は、「労働に見合っただけの給料が払えないから、成長でごまかしている」というケースが大半だ。以前も書いたように、成長という言葉には気をつけなければならない。

 

そもそも、若者が最初に入った会社を3年以内に辞めることが「問題」なのかという話もある。就労経験がない学生が、いくら真剣に企業選択をしたところで、一定割合の人が自分には合っていない会社に就職してしまうことはもう避けられないことだ。こういう人たちに、我慢してしばらくは勤めろというのは酷な話である。

 

ドラッカーも言うように、最初の就職はくじ引きだ。ハズレくじを引いたら、もう一度引き直したほうがいい。問題なのは、3年で辞める若者というよりは、3年で辞めると正社員として再就職がしにくくなるという社会構造の方と考えたほうが適切である。若者の定着率を上げるように各企業は対策を、というのは本質から遠ざかっているような気がしてならない。

 

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)

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