最近は、就職活動を子供まかせにせずに、親があれこれと手助けをするケースが増えているそうだ。例えば、次のような本がそれなりに売れているらしい。

- 作者: 田宮寛之
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2012/09/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: 鈴木健介
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2011/08/10
- メディア: 新書
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上に挙げたのは一例で、この手の本は山ほど発売されている。さらには、本だけでなく、最近は保護者向けの就職セミナーのようなものまであるらしい。すごい時代になったなぁ、と感じずにはいられない。
こんな風に、親が子供の就職活動に過剰に介入したくなる気持ちは、全く分からないということもない。今は大学を卒業しても4人に1人は正社員として就職することができない。我が子がそうならないようにと、必死になってしまうのは、親の心情としては仕方がないのかもしれない。世間では、今は大変な時代だから、「過保護はダメだが、ある程度親も子供の就活に感心を持って、適切に導くべき」という考え方が主流になりつつあるようだ。
しかし、僕はこの考え方にはあまり賛成できない。大学を卒業すれば、さすがにもういい大人である。このタイミングで親離れできなかったら、もういつまでたっても親離れできない。親は一切、子供の就職活動に関与すべきでない、というのが僕の考えだ。
実際、親の浅知恵が就職活動によい影響を与えるともあまり思えない。親子就活本が続々と発売されているのは、親が手助けしないと子供が就職できないからではなく、子供の就活を心配している親が増えていて、そういう市場が生まれているからに過ぎない。この手の本を読んで、子供の就職活動についての知識をつけること自体は構わないが、書いてあることを真に受けてあれこれと口出しをするのは避けたほうがいいだろう。
自分で考えて、自分で決断できないようでは、仮に就職したとしても会社にいいように使われるのがオチである。それこそ、就職活動や仕事を相対化することなんて絶対に不可能になってしまう。本当に子供のことを考えているのであれば、ここは口出しをすべきところではない。
もちろん、アドバイスを求められた場合に、相談にのること自体は悪くないだろう。ただし、決断自体は必ず子供がしなければならない。
親子で就活なんていうのは、完全に幻想だ。自分の人生を決めるのは、自分以外にいないという当然のことを忘れてはならない。

- 作者: ちきりん,良知高行
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2011/10/28
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