脱社畜ブログ

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プロジェクト型の仕事をする人は必読!『デッドライン』

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仕事には、プロジェクト型の仕事と、そうでない仕事とがある。プロジェクト型の仕事とは、簡単に言ってしまうと、仕事の完成と期限が設定されている仕事のことだ。SIerの手がけるシステム構築や、ダムやプラントの建設はプロジェクト型の仕事の典型例である。一方、オフィス清掃や窓口業務といった、ルーチン系の仕事はプロジェクト型の仕事ではない。

 

プロジェクト型の仕事は、容易にブラック化する。仕事の見積りの甘さや、想定していなかったトラブル、酷い場合は病んだ社内政治によって、仕事の締め切り遵守が危機に晒されることはよくあることだ。なんとか納期に間に合わせようと、残業・徹夜といった手段が投入され、労働者はどんどん疲弊していく。「IT業界は例外なくブラック」という極論が出るくらい、世の中に病んだプロジェクトは氾濫している。

 

今日は、そんなプロジェクト型の仕事とうまく付き合うための本を紹介したい。『デッドライン』(トム・デマルコ)という本だ。

 

デッドライン

デッドライン

 

IT系の仕事の人にはとても有名な本なので改めて紹介する必要もないくらいだと思うが、この本はIT業界関係者に限らず、プロジェクト型の仕事に関わる人は全員必読だと僕は思う。いわゆる管理職は当然として、管理される側も、読んでおけば自分のプロジェクトがいい物なのか悪いものなのかよくわかるだろう。

 

著者のトム・デマルコは本書以外に『ピープルウェア』『ゆとりの法則』といったプロジェクト管理に関する本を書いているが、本書が特徴的なのはこれが小説だということだ。トムキンスという会社をクビになった管理者が、モロビアという架空の共産主義国に拉致され、6つのソフトウェア開発という大規模プロジェクトを管理することになる、という筋書きで、話は進んでいく。

 

プロジェクト管理が専門の学者、プレッシャーを行使するイヤな上司、達人のプログラマーなどが次々と登場し、そういう人物達とのやり取りの中で、トムキンスはプロジェクト管理のための成功法則を見出していく。この法則の一つ一つが、実に素晴らしいのである。例えば、以下の法則は日本のすべての会社に大書して貼っておくべきだと僕は思う。

 

・プレッシャーをかけても思考は速くならない。
・残業時間を増やすのは、生産性を落とす方法である。

 

現実では、本書の真逆を行くようなプロジェクトも少なくない。人を増やして納期を短縮しようとしたり、プレッシャーをかけることでチームを運営しようとしている人達も少なくないだろう。僕は、可能ならば本書を高校の教科書にすべきだとさえ思う。そのくらい、間違ったプロジェクト管理が世の中には氾濫している。

 

デマルコの本に共通するのは、人間に対して、人間として接するという姿勢である。「管理」という言葉を使うとこういう側面が蔑ろにされがちだが、プロジェクトは人間が行うものである以上、この点を無視してうまくいくはずがない。

 

プロジェクト型の仕事をする人でまだ本書を読んだことがないという人は、ぜひ読んでみて欲しいと思う。