脱社畜ブログ

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App Storeのレビューに、日本のモンスター消費者の片鱗を見る

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日本のApp Storeのレビューが酷いという話は有名である。例えば、これはとある無料のニュースアプリのレビューだ。

 

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このアプリが頻繁に落ちること自体は事実のようである。しかし、個人開発の無料アプリに「はっ?」とか「ふざけんなよ」とまで軽々しく、何の抵抗もなく書き込める人がこんなに多いのはどうなんだろうか。おまけに、呪詛の言葉以外には何ら情報が書かれていない。どのような環境で落ちたのか書いてくれれば開発者としても対応のしようがあると思うのだが、この手の斬り捨てコメントではクレームに真摯に対応しようにも対応のしようがない。

 

このアプリはあくまで一例であり、日本のApp Storeのレビューは、全体的にこんな感じである。特に、フリーズやクラッシュなどの障害系クレームは凄まじく、たとえ無料アプリであってもレビュー欄は星1の情報量ゼロキレコメントで埋め尽くされる。

 

一方で、米国のApp Storeのクレームは割と穏やかである。もちろん、日本の水準と変わらないレビューをつける人もいるが、基本的には障害の発生状況や環境などを書き、「修正してくれたらレビューの星を戻す」と付言されている場合も少なくない。どちらが建設的かは、言うまでもなくわかるだろう。

 

無料アプリにすら全力で呪詛の言葉を投げかける日本のApp Storeのレビュワーを見ていると、日本の消費者がやはり諸外国に比べて要求過剰であることは間違いないと思ってしまう。飲食店で店員の些細なミスも許さず罵倒をしたり、電車が数分遅れたことにクレームを入れたり、24時間時刻指定配達をしろと言ってみたりと、日本の消費者は、はっきり言ってモンスターである。サービス提供者も、自分と同じ人間だということは完全に忘れ去られている。サービスを受ける「顧客」という立場になれば、王様のような横暴も許されるという考え方の人があまりにも多い。「お客様は神様です」という言葉は、店側が使うならわかるが、客側が使うとものすごくみっともないと僕には思えてしまう。

 

そして、サービス提供者も、このモンスター消費者の過剰なサービス要求に答えてしまっている。そのしわ寄せは、従業員に来る。だから運送・飲食といった接客業は信じられないレベルでブラック化する。「値段相応」という考えが、日本のサービス業にはあまりない。

 

確かに、1食数万円ぐらいかかるレストランであれば、「店員の態度」を気にするのも理解できる。しかし、吉野家で380円の牛丼を食べて、店員の態度が気に入らないと言って喧嘩をふっかけるのはどう考えても「値段相応」ではない。App Storeの無料アプリにキレるのも、これと変わらないと僕は思う(もっと言うと、「無料」な分だけ吉野家よりも酷い)。

 

イラッとしてしまうことは仕方がない。これは気持ちの問題である。しかし、それを口に出したりする前に、自分が相手の立場だったら、と少しだけ考えてみるといいだろう。クレームを入れるにせよ、本当に相手に動いてもらいたいのであれば、せめて言い方を考えることをおすすめする。罵倒系のクレームは、言えばスッキリするかもしれないが、何ら生産的ではない。

 

人に自分の望んだ行動を取ってもらいたいと思う人は、例えば以下の本を読んでみるといいだろう。モンスター消費者的なやり方が、まずいやり方だということがわかるはずだ。

 

人を動かす 新装版

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