id:snowy_moon さんのこの記事経由で、以下の記事を読んだ。
手をかけた記事が受けず、片手間に書いた記事が受ける問題
http://d.hatena.ne.jp/takerunba/20130125
この記事に書かれていることは、ブログを多少長くやっている人ならおそらく誰しも経験があることだと思う。僕も例外ではなく、自分の書いた記事に対する「ヨミ」はよく外れる。「これはかなりバズりそうだなぁ」と思った記事にほとんど反響がなく、一方で「あんまりよく書けた気がしないけど、とりあえず投稿しておこう」と思った記事が大拡散したりする。もちろん、狙いがそのまま当たることもあるのだけれど、全体で見ると狙った記事が狙い通りあたる、というケースは3割にも満たないんじゃないだろうか。それがブログの面白さだったりするとも思うが、時間をかけた記事が鳴かず飛ばずだったりすると、ちょっとがっかりした気持ちになることもある。
元記事はブログの話だが、この「狙ったものがウケず、逆にそれほど期待していなかったものがウケる」という現象は、ブログに限った話ではないと思っている。たとえばWebサービスを作るにしても、同じような現象は頻繁に起きる。ヒットしそう、と思ったものはあまりヒットせず、逆にそこまではヒットしなさそうだと思ったものが大ウケする。未来の予想は、誰にとっても難しい。
もちろん、市場調査をしっかり行なって、ロジカルに事実を積み上げていけば、事前にヒットの精度を上げられる可能性があることは否定しない。しかし、事前の調査をしっかりするには時間も金もかかるし、どれだけ入念にやっても外れることはある。人や金に余裕がある大企業ならともかく、創業間もない小さなベンチャー企業や、個人でWebサービスを作ってちょっと儲けたいと企んでいるような人には、そんな余裕はないはずだ。
こういう状況で、ヒットを作るための「ヨミ」に時間をかけるのはあまり賢い方法ではない。これを踏まえた上で、僕が思うヒットを作るための賢いやり方は、「とりあえず出してみる」という方法だ。そして、「ヨミ」に使うはずだった時間や労力を、新たなサービス作りに充当するのである。
ユーザーの反応は、出す前には予想がつかないが、いったん出してしまえば比較的容易にデータを集められる。そのデータを分析すれば、出したサービスがイケてるのか、イケてないのかは大体予想がつくだろう。そして、イケてないのであればそのサービスはすぐに畳んで次に行く。逆に、将来性がありそうなら全力で改善する。こういうイテレーションでサービスを作っていくのが、スタートアップや個人にとっては理想的だと僕は思う。
もっとも、実際に形ある商品の場合は、出してしまったら基本的にはもう直せないので、この方法は取りづらい。そういう意味でも、スタートアップや個人はWebのような業態で勝負するべきだと思っている。とりあえず出してしまってから、ユーザーの反応を見つつ改善できる業態なら、ある程度は資本のある大企業とも戦える。
実際のサービスを作る時間を削ってマーケティングごっこをするぐらいだったら、さっさとサービスを作って出してしまって、それから判断したほうがよい。それが、個人や弱小ベンチャーがサービスを作る際の、たった1つの賢いやり方だと僕は思う。

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