脱社畜ブログ

仕事観・就職活動・起業についての内容を中心に、他にも色々と日々考えていることを書き連ねていきます。

「逃げる」のススメ

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ドラクエみたいなRPGをやっていると、戦闘中に「たたかう」とか「じゅもん」とかのコマンドが並んでいる一番下に、「にげる」という選択肢が出てくる。このコマンドは、残念ながら常にうまくいくということはなくて、例えばたまに回りこまれてしまったり、ボス戦だったりすると100%成功しないようになっていたりする。

 

これはあくまでゲームの話なのだが、僕が今日書きたいと思っているのは現実世界における「にげる」コマンドのことだ。実は、現実の世界にも「にげる」コマンドは存在している。しかし、多くの人がこのコマンドの存在を知らない。そして、現実世界の「にげる」コマンドは、犯罪に手を染めたとか、借金を踏み倒したといった一部の場合を除けば、基本的に回りこまれることなく成功する。

 

例えば、仕事が辛くて辛くて仕方が無くなったとする。責任の重圧に潰されそうになったり、終わりのない残業・休日出勤のスパイラルに入ってしまい、心身ともに正常な状態を保てなくなった、というような状況である。ブラック企業が好むような言説だと、ここがいわゆる「成長のしどころ」であり、これを逃げずに耐え切れば大きく成長できる、だから頑張れというように話が進む。「逃げる」という選択肢は、まるではじめから無かったかのように語られる。

 

しかし、実際には「逃げる」ことは可能だ。僕は、その人自身がしんどくて、もう「限界だ」と思ったのであれば、責任とか周りへの迷惑なんてことは全部放り出して、逃げてしまうべきだと思っている。たとえそれで仕事が大変なことになろうとも、それはあなたのせいではない。あえて誰のせいか指摘しろと言うのであれば、それはそんな状況にあなたを追い込んだ、周りのせいだ。そんな周囲の人間に対して、配慮する必要なんて全然ない。

 

「逃げずに耐えて成長した」人の影には、たくさんの「逃げずに壊されてしまった」人たちがいる。壊れてしまえば「働けなくなる」ということは逃げてしまった場合と完全に同じであり、そうなるぐらいだったら、壊される前に逃げてしまったほうが絶対によい。

 

一番まずいのは、「逃げる」という選択肢がそもそも浮かばないという状況だ。本当に逃げるか、あるいはもう少し頑張ってみるかは個々人が自分のキャパシティと相談しつつ、無理のない範囲で決めることだとは思っているが、そもそも「逃げる」ということが選択肢のひとつとして頭に浮かばないのはよくない。これが選択肢に無いと、「やり遂げる」か「壊れるか」の二択になってしまう。これを地で行っているのが、有名なワタミのコピペである。これは非常に危険だ。

 

ワタミ社長「『無理』というのはですね、嘘吐きの言葉なんです。途中で止めてしまうから無理になるんですよ」
村上龍「?」
ワタミ「途中で止めるから無理になるんです。途中で止めなければ無理じゃ無くなります」
村上「いやいやいや、順序としては『無理だから→途中で止めてしまう』んですよね?」
ワタミ「いえ、途中で止めてしまうから無理になるんです」
村上「?」
ワタミ「止めさせないんです。鼻血を出そうがブッ倒れようが、とにかく一週間全力でやらせる」
村上「一週間」
ワタミ「そうすればその人はもう無理とは口が裂けても言えないでしょう」
村上「・・・んん??」
ワタミ「無理じゃなかったって事です。実際に一週間もやったのだから。『無理』という言葉は嘘だった」
村上「いや、一週間やったんじゃなくやらせたって事でしょ。鼻血が出ても倒れても」
ワタミ「しかし現実としてやったのですから無理じゃなかった。その後はもう『無理』なんて言葉は言わせません」
村上「それこそ僕には無理だなあ」

 

僕は、何か辛くなりうることを始める際には、自分の中で「逃げる条件」を決めるのがよいと思っている。「撤退ライン」と言い換えてもよい。株取引とか事業計画を立てるような場合には、この手の「撤退ライン」を意識する人が多いと思うが、普通に会社で働くことにだって、僕はこの考え方は応用できると思っている。割に合わない状況になっているのに、ズルズルと働き続けても、自分という資本を傷つけるだけだ。そういう時は、壊れる前に撤退してしまったほうがよい。

 

一度逃げてしまうと、もう後は日陰者のような人生を送らなければならないかというと、決してそんなことはない。壊されてさえいなければ、また環境と時期を変えてやり直すことはできる。一方で、壊されてしまったら、なかなか再起をかけることはできない。

 

壊されそうになったら、とにかく逃げよう。現実世界では、「にげる」コマンドは基本的に常に有効だ。心身ともに健康で、生きてさえいれば、また巻き返すことはできる。何よりも大切なのは、自分を守ることである。

 

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関連本、というほど関連はないが、最近読んでとても面白かったので。この漫画は、プロジェクトを途中で投げして都心から「逃げてきた」ゲームクリエイターが、ひなびた温泉街を立て直すという漫画である。人間、逃げてもやり直せるということに気付かせてくれる。ちなみに、Kindle版のほうは1巻のみ100円で非常に安い。

 

限界集落温泉 1巻 (BEAM COMIX)

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限界集落(ギリギリ)温泉第一巻

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