脱社畜ブログ

仕事観・就職活動・起業についての内容を中心に、他にも色々と日々考えていることを書き連ねていきます。

ネットで人が集まる場所のつくりかた

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中学生の時に、生まれてはじめて僕は「ホームページ」なるものを開設した。

 

当時は、家にパソコンが無いというような家庭も多く、「インターネット」は今のように「当然のようにそこにあるもの」では決してなかった。回線の速度も遅く、接続料も日中は定額ではない。あの頃は、見たいサイトを片っ端から開きまくった後に、回線を切ってオフラインにして接続時間を節約するなど、結構涙ぐましい努力をしながらインターネットを楽しんでいた。

 

そんな時代に、僕が開設したホームページは実にお粗末なものだった。自己紹介と中二病的なコラム、掲示板、リンク集――コンテンツはそれだけだ。コラムの内容は本当に酷くて、思い返すと今でも恥ずかしさで死ねるような気がしてくるのだけど、当時の僕はそんな自分のホームページに、世界中から人がたくさんやってくるだろうと本気で思い込んでいた。

 

もっとも、それが根拠のない妄想であることが分かるまでには、それほど時間はかからなかった。リンク集やサーチエンジン(当時は、今のようにGoogle一強ではなかった)にたくさん登録をしてみたものの、人はいっこうにやってくる気配がない。少しアクセスカウンターが増えていたとしても、掲示板に書き込みまで残してくれる人はほとんどいなかった。たまに書き込みがあったかと思うと、同じクラスの友人の書き込みだったりして、「見知らぬ誰か」が僕の作ったホームページという「場」で交流をしてくれるという僕が最初に抱いていた夢は、まったく実現しそうに無いように思えた。

 

僕は、掲示板が賑わっている他人のホームページと、自分のホームページを見比べて何が違うのだろうか、といろいろ考えた。賑わっているホームページには、いずれも「見に行くだけの理由」が存在した。賑わっているページにあるコンテンツは、訪れた人のためのコンテンツだった。一方で、僕のホームページのコンテンツは、全てが僕自身のためのコンテンツだった。メインコンテンツのコラムも、書いている僕が楽しいというだけで、読んだ人が楽しめるかと言われるとそういうものでは決してなかった。

 

そこで僕は、自分のホームページを「訪れた人のためのもの」に作り変えることにした。ちょうどポケモン金銀が発売された直後で、僕は自分のホームページをこのゲームの攻略サイトとして再構築した。メモを取りながらゲームを進めて、攻略情報をせっせとまとめた。ある程度完成した時点で、再度リンク集やサーチエンジンに登録しなおした。

 

リンク集に登録した翌朝、自分のホームページを見てみるカウンターの値がとんでもなく増えていることに気がついた。最初はバグったのかと思ったが、どうもそうではないらしい。掲示板には大量の書き込みがあり、勝手に訪問者同士の交流のようなものまで始まっている。僕はこの結果を見て、「なるほど、人が集まる場所はこうやって作るのか」と学んだ。

 

その後10年ぐらいたって、僕は本格的にWebサービスを作ったりブログを書いたりすることになったのだけど、当時学んだことは今でも忘れないように心がけている。Webサービスの中身にせよブログの文章にせよ、それはサイトを「訪れた人のため」に用意するものだ。もちろん、どんな気持ちでWebサービスを作ろうとブログを書こうとそれは発信者の勝手なのだけど、人を集めようと思ったら受け手の「ニーズ」を考えることが一番手っ取り早いのは間違いない。

 

自分と何の関係もない第三者の日記のような文章を喜んで読みに行くような酔狂な人は普通いない。一方で、自分にとって役立つ情報を発信してくれる人がいるとしたら、そういう人はどういう人なのだろうか、と興味を抱くこともある。積極的に自分語りをしないほうが、逆に他人に興味を持ってもらいやすい。これはもしかしたら、ネットに限らず日常生活でも同じなのではないかなぁ、とちょっと思ったりもしている。

 

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