脱社畜ブログ

仕事観・就職活動・起業についての内容を中心に、他にも色々と日々考えていることを書き連ねていきます。

ベンチャー企業とブラック化というダークサイド

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以下の記事を読んで、色々と考えた。

 

ベンチャー企業あるあるにハマった。
http://anond.hatelabo.jp/20130811212721

 

まずは真っ先に、昔のことを思い出した。

 

僕も一応、起業経験がある。体力や精神力の問題もあって元記事のように一日20時間労働はさすがにしていなかったのだけど、それでも僕なりに精一杯働いた。辛いこともたくさんあったが、楽しいこともたくさんあった。僕らも、コアメンバーは元記事と同じく4人だった。その4人に上下関係はなく、フリーハンドで裁量をもって働けていたという点も元記事と一緒だ。僕らも仕事中ゲームをやったり、フラッと漫画喫茶に出かけたりしたこともある。

 

元記事と違うのは、僕らの会社はそのまま4人より拡大せずに、ポシャったという点だ。それゆえ、従業員を雇うことはなく、モチベーションの違いをどう埋めるべきかと悩むこともなかった。

 

ただ、僕自身がその後、別の会社で「従業員」になった。そして、起業時代とのモチベーションの違いに、大きく悩むことになった。

 

労働時間や労働環境だけ客観的に比較すると、起業時代と会社員時代では、圧倒的に会社員時代のほうが恵まれていた。会社員時代も長時間労働にうんざりさせられてはいたのだけど、純粋に時間だけ比較すればそれでもまだ会社員時代のほうが少なかった。

 

ただ、気持ちの面では「従業員」で残業をさせられるのは、自分の会社で残業(という概念がそもそもあるのかあやしいが)をするのと100倍ぐらいしんどさに開きがあった。「従業員」として勤める会社を大きくしても、別に自分は億万長者になれるわけでもない、と思うとアホらしくってやってられない。とにかく早く帰宅して自分のプロジェクトに時間を割きたい、そんなことを毎日考えていた。

 

「従業員」を雇うという場合、「従業員」が創業者と同じモチベーションを保てるわけがないのは、極々自然で「あたりまえ」すぎることだ。だから、成長したベンチャーは、工夫を凝らす必要がある。よくやられているやり方は、大きく2つある。

 

ひとつは、ストックオプションなどで給料以上の「金銭的な」モチベーションを与えるという方法。ベンチャー企業の従業員は、言わば給料以上の働きを期待されることになるわけだが、その差分を「給料以上の金銭的な見返り」が吸収する。そういう「一攫千金」的なチャンスがあるからこそ、ベンチャーで自分事として仕事をする理由が出てくる。これは真っ当なやり方だし、個人的にはこういう利点がないのにベンチャーに参画しようとする人の気持ちがよくわからない。

 

一方で、もうひとつのやり方は黒い。「金銭的な」報酬が用意できないところを、「精神的な」報酬によって埋めるのである。いわゆる「やりがい」や「成長」を前面に押し出して、それらが得られることをもってして仕事のつらさを正当化する。「うちはベンチャーだから仕事はしんどい。でもその分成長できる」とか言い出すところは、そういうやり方に手を染めている可能性が高い。これが社風や採用方針にまでシステム化されて反映されると、見事にブラック企業の出来上がりである。

 

後者は言わばベンチャー企業のダークサイドのようなものだと思うのだけど、こういったダークサイドに落ちてしまうベンチャー企業は山ほどある。試しに、ベンチャー企業の求人情報をいくつか見てみるといい。ベンチャーなのに新卒を取ろうとしてるところなんかは、特に危ない。

 

元記事の方がすごいなと思うのは、多くのベンチャーが悩まずにダークサイドへと落ちるのに対して、この点を問題としてしっかりと認識しているということだ。ぜひともブラック化を避けつつ、会社を成長させていってほしい。

 

起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと

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