脱社畜ブログ

仕事観・就職活動・起業についての内容を中心に、他にも色々と日々考えていることを書き連ねていきます。

「あなたにしかできない仕事」を無くすために必要なこと

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以下の記事、かなり共感できる内容だった。

 

「あなたにしかできない仕事」はない
http://www.nikkei.com/article/DGXBZO61432220S3A021C1000000/

 

「替わりの効かない人材」を目指せというアドバイスは、結構いろんなところで見かける。この記事でも触れられているように、「自分にしかできない仕事」を作ることで、自己実現をしようとしている人たちもいる。たしかに、「君の代わりはいくらでもいる」と言われたら、誰もいい気持ちはしないだろう。「◯◯さんがいないと困る」と言われると、誰だって「頼られてる」ことを実感する。

 

しかし、この状態は組織としては健全ではない。個人単位で見ても、「◯◯さんしかできない仕事」ばかりでは、業務の集中を招き、容易に長時間労働に繋がる。仕事が特定個人しかできないものだとしたら、将来のスケールアップも見込めないということになる。「あなたにしかできない仕事」は、会社にとっても、あるいは社員にとっても好ましくない。冒頭で挙げた記事で書かれているように、会社から「あなたにしかできない仕事」を取り除くことは重要だ。

 

もっとも、問題はあまり単純ではない。労働市場では、「誰でもできる仕事」しかできない人の価値は低くなる。一方で、「あなたにしかできない仕事」がある人の価値は高い(その仕事にニーズがあればだが)。「替わりの効かない人材」を目指すというのは、自分の労働市場価値を上げる手段としては王道だ。このような状況では、「あなたにしかできない仕事」をそう安々と「誰でもできる仕事」に変えようというわけにはいかない。

 

実際には、「あなたにしかできない仕事」を「誰でもできる仕事」に変えることは、「あなたにしかできない仕事」を一人で抱えるよりも遥かに価値があることだ。そういう意味で、この手の「標準化」は高く評価されなければならない。しかし、実際にはどうだろうか。理解ある上司なら、このような取り組みを高く評価してくれるかもしれないが、必ずしもそうはいかないだろう。「あなたにしかできない仕事」を「誰にでもできる仕事」に変える仕事は、あまり目立たないということもあってか、なんだか大したことでもないように扱われることがある。給料も別に上がらない。それなら、「あなたにしかできない仕事」を抱えて、頑張っているように見せたほうがいい、ということにもなりかねない。冒頭で挙げた記事を書いた方の会社であればそんなことにはならないだろうけど、上司や経営者側が「標準化」の価値を正しく認識していないと、仕事の特定個人への依存はなかなか無くならない。

 

「仕事の特定個人への依存を解消する仕事」が評価されないと、必要以上に仕事が個人に依存するようになるおそれもある。「あなたにしかできない仕事」を解消した人は、もっと評価されなければいけない。

 

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