脱社畜ブログ

仕事観・就職活動・起業についての内容を中心に、他にも色々と日々考えていることを書き連ねていきます。

企業が欲しいのは優秀な人よりも洗脳しやすい人

スポンサーリンク

企業の採用試験を、純粋な能力試験だと勘違いしている人がいる。

 

もちろん、採用試験で能力が一切見られていないというわけではない。能力が高い、優秀な人はたしかに採用されやすくはある。しかし、優秀であればどんな会社でも無条件で内定がもらえるかというと、そんなことはない。能力がある人が、「社風に合わない」みたいな理由で落とされることは実際普通にある。

 

企業にとっては採用者の能力なんてある一定水準を超えてさえいれば割とどうでもいいことだったりする。もちろん、優秀であるに越したことはないのだけど、それ以上に重視されるのが「その会社でその人はうまくやっていけるのか」という要素だ。この要素は「社風にあっているか」と言い換えてもいい。

 

社風に合っているかどうかがよくわからなくても、企業がその人を自分のところの社風に「洗脳しやすい」と判断されれば採用されることになる。研修なり、職場の空気なりを使って、最終的に「会社の人間」に仕上げられるならそれでもいいからだ。逆にどんなに優秀な人であっても、我が強くて染めようがないというのであれば、採用は見送られることになる。

 

この傾向は、新卒採用では特に強いように思う。そもそも、学生が優秀かどうかなんて数回面接したぐらいでは普通はわからない。学生時代の成績がよくても、仕事が同じようにできるとは限らない。意識高い系学生団体でビジネスごっこをしていたからと言って、優秀だというわけでもない。インターンなどを実施すれば「優秀さの片鱗」ぐらいはわかるかもしれないけど、それをやるには結構なコストがかかるし、実際に仕事をさせてみたらやっぱり全然優秀じゃなかったなんてこともある。学生の「仕事の能力」を見極めた上で採用をするのは、結局のところ「不可能」ということになる。

 

一方で、「洗脳しやすさ」を見極めることは「能力」を見極めるのに比べたらカンタンだと言える。社長や人事の話に感化されやすい人はそれだけ染まりやすいということになるだろうし、面接などで少し長く話せばその人が「会社の人間になる適性があるか」ぐらいだったらある程度はわかる。

 

正直、新卒採用を行うような規模の会社にとっては、採用する学生がすべて優秀な人でなければならないなんてことは全然ない。1人ぐらい優秀な人を採用し損なったとしても、それは全然大きなダメージではないのだ。一方で、会社の空気を乱す人間や、会社の指示に従わないような人間は、たとえ1人でも採用してしまったら大きなダメージになる。だから面接では「能力」よりも「会社の空気に合っているか」「会社色に染めやすいか」が何倍も重視される。いくら採用担当人事が「優秀な学生を取りたい」とかなんとか言ったところで、会社が本当に求めているのは洗脳しやすいソルジャー社員なのだ。

 

こんなふうに考えると、採用試験は純粋な能力試験とは到底言えないことになる。たとえ不採用になったとしても、それは能力不足が原因とは限らない。「面接の結果、あなたを洗脳するのは難しいと思いましたので採用は見送らせていただきます」ということだって全然ありうる。そういうわけなので、あまり気に病んでもしょうがない。

 

あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。
 

  →「はじめに」(p1-6)を読むことができます。