脱社畜ブログ

仕事観・就職活動・起業についての内容を中心に、他にも色々と日々考えていることを書き連ねていきます。

「スキルがないから独立できない」という人は、たぶん最初から独立する気がないんだと思う

こちらを読んで。

「私は特別なスキルがないので、独立は難しいと思っています」という話はたしかによく聞く。

 

ただ、こういうことを言う人たちの多くは、実はそもそも最初から独立する気がなかったりする。多少の不満はもちろんあるだろうけど、それでも独立しようという話を具体的に考えなくてよい程度には今の会社で働けているということだ。それは実際とても幸運なことだし、そういう人に「独立しろよ」と言っても余計なお世話だろう。また、この言葉には多分にお世辞(ヨイショ)的な意味合いもある。社交辞令的に「スキルがないから独立できない」と言ってきた人に対して「いや、あなただって独立できますよ!」と力説してもそれはただの痛い人である。美容院での天気の会話程度の形式的なやりとりだと考えておくほうがいい気がする。

 

ただ、これがそのような意味ではなく、本気で独立したくて「私は特別なスキルがないので、独立は難しいと思っています」と言っているのだとしたら、正直これはかなり心配になる。ここで問題なのは、特別なスキルがないことではない。独立するのに必要なスキルが定義できていないことが問題なのだ。

 

スキルが身に付いていない状態で独立してはダメだとは僕も言わない。独立後に業務を遂行していく過程でスキルを身につけて間に合わせることは実際多いだろうし、そうやってOJT的にやっていったほうが学習効率も高いのは事実だ。ただ、せめて独立前にどんなスキルが必要になりそうで、かつそれを自分が業務を通じながら身につけていけそうか、そのぐらいの見立ては欲しい。もちろん、100%の見立ては無理だ。実際に独立してから「ああ、あれも必要だった」と気づくことは当然あるだろう。どこかで見切り発車になるのはやむをえないが、それでも事前に想定できる分だけぐらいは想定しておかないと、独立したあと「自分はサラリーマン以上にフリーランスに向いていなかった」なんて事態になりかねない。

 

ここからは完全に僕個人の印象の話なので参考程度に読んでいただきたいのだが、個人的にはプログラミングであるとかライティングであるとか、そういったテクニカルな知識については見切り発射でも問題ないと思っている。ただ、たとえば受託を中心にやっていくなら仕事を取ってくるための営業力・人脈が必要になると思うが、これらは独立したあとで頑張っても急激に伸びたりはしないので(言い方は悪いが営業力はほとんど才能で決まる。できない人ができるようにはまずならない)、このあたりの見立ては慎重にやったほうがいいだろう。ウェブサービスを作るとかブログのアフィリエイトで生計を立てるとか、営業しない形のフリーランスでやっていくのであれば(営業しないぶん気楽に見えるかもしれないが、稼ぐ難易度はこっちのほうが高い)まずは独立前に簡単なものをつくってみて自分がそういう方法で稼ぐことに向いているか試してみるといい。思うに、働きながら月1万円も副業で稼げない人が独立した途端に月収50万になるとかいうことは基本的にありえないので、会社を辞めるなら実際に少しでも稼いでみてからのほうがよい。

 

いろいろとシミュレーションした結果、それでも独立したいという気持ちが萎えないのであればそれはそれでいい。やってみたいという、挑戦してみたいという気持ちにウソをついても虚しくなる。勇気を持って飛び込んでみるというのもいいだろう(責任はとれないが)。人生は1回なので、独立するにせよしないにせよ、後悔しないように生きることが大切だ。

 

フリーランスのための一生仕事に困らない本

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「逃げ」の転職で何が悪い

先日、友人から転職の相談を受けた。話を聞いてみると結構深刻で、なんだか僕まで暗い気持ちになってしまった。詳細は書くわけにはいかないので適当に省略して書くが、どうやら彼は仕事そのものについては特にそれほど不満があるわけではないものの、人間関係にすっかり参っているらしい。

 

彼はまず上司との相性が絶望的に悪いという話から入ったが、詳しく聞いてみるとこれはもう企業カルチャー自体が彼にさっぱり合っていないように思われた。たまたま今の上司との相性が悪いだけだというのであれば、立ち回り方次第では今の会社にとどまりつつもっと働きやすい環境に移ることもできるかもしれない。しかし会社そのものと相性が悪いとなると、これはもう転職なり独立なりの手段で環境を変える以外になかなか楽になる方法は見つからない。こういう時は、とりあえず会社の外の環境に目を向けるといい。そういう意味で、彼が今転職を検討していることは行動のベクトルとしては非常に正しい。僕は強く応援すると言った。

 

ところが、彼自身は強く転職に踏み切れないでいるらしい。理由を聞くと、人間関係を理由に転職するのは、「なんだか逃げているようで後ろめたい」からだという。たとえばいま会社でやっている仕事が自分の実力よりも程度が低いもので、もっとチャレンジングな仕事をするために転職するというならそれは納得できるが、いま一緒に働いている人が合わないというだけで会社を移るというのはすごくネガティブな感じで気が引ける――そう彼は説明してくれた。

 

たしかに、これと似た趣旨のことを言う人たちはいる。「嫌なことから逃げる気持ちで会社を変えても、また新しい会社で嫌なことがあったら同じように逃げるので、そういう人はジョブホッパーになって最終的にはキャリアを壊す」というアドバイスも僕は会社員時代に耳にしたことがあるが、正直こういう意見はどうかと思う。今の環境に問題があるなら逃げるのは当然で、むしろここで逃げないと心や体を壊して取り返しがつかなくなるおそれだってある。転職の理由が「逃げ」であることで悪いことなんてひとつもない。

 

そもそも、「逃げ」の要素が一切ない転職なんて存在するのだろうか。「もっと大きな仕事をしたい」という一見ポジティブっぽい理由で転職する人だって、結局は「今の会社で自分がやりたい仕事はできない」という不満から「逃げ」るために転職をするわけで、広い意味では今の環境から逃げていることに変わりはない。理由がなんであれ、「環境を変えたい」と思うのであれば転職を検討することは至極自然なことで、後ろめたさを感じる必要はまったくないんじゃないだろうか。

 

会社員時代、転職慣れしている先輩がよく自分の経歴を語りながら「◯◯社は酷かったのですぐ逃げた」という話をしていたことを思い出す。その先輩はとても仕事ができて頼りになる人だった。しかも、会社を内部からだけでなく外部からの視点でも見ることができる人だったので、話していてとても面白かったしためにもなった。この先輩を見ていると、「逃げ」の転職で人がダメになるなんて絶対にウソだと思う。環境を変えることをそんなつまらない理由でためらってはいけない。むしろ逃げないことで、失っているものも多くある(時間、心身の健康、etc)ことに気づくべきだ。

 

転職エージェントの選び方と比較の軸