脱社畜ブログ

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なぜモンスター消費者には「年配の男性」が多いのか?

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今日も、新刊『はい。作り笑顔ですが、これでも精一杯仕事しています。』にページ数の関係で載せることができなかったコラムを掲載します。

 

 

   コラム:なぜモンスター消費者には「年配の男性」が多いのか?

 

 飲食店や携帯ショップの窓口などサービス業で働いている人たち数名に、揉め事を起こす客の年齢や性別について質問をしたことがあります。

 すると答えは決まって「年配(高齢)の男性」というものでした。これは業態によらず、すべての業種に共通する傾向のようです。

 勘違いされないように断っておきますが、これはあくまで傾向の話です。実際には若者や女性のモンスター消費者もたくさんいるでしょうし、年配の男性であっても大半は善良な一般客です。年配の男性を攻撃しようという意図はまったくありません。

 とはいえ、サービス業で働いている人たちが、こうも口を揃えて「揉め事を起こす客には年配の男性が多い」と言っていることを考えると、そうなってしまう理由が何かしらあると考えるのが自然でしょう。

 まず考えられるのは「年配の男性」が生きてきた時代や価値観です。

 もちろん「年配」と一口に言っても世代の幅は大きいので大雑把なことしか言えませんが、この年代の人たちは「立場」を絶対視する人が多い世代だと言えます。

 彼らは会社での役職にこだわる延長で、店員と客という立場の違いにもこだわります。実際には店員と客というのは接客中に限定された一時的な立場の違いでしかないのですが、そういう理屈は彼らには通用しません。自分は客で相手は店員という立場なのだから、「店員は自分の言うことをなんでも聞いて当然だ」と思っている節があります。

 さらに、この世代の男性は古いジェンダー感を持っている場合が多く、女性を下に見ている人も少なくありません。そして、現代の日本ではサービス業に従事している人の中心は若い女性です。このことがまた、彼らに強い態度を取らせます。

 つまりサービス業の中心を占める「若い」「女性」の「店員」という属性が、立場を絶対視する「年配の男性」から下に見られやすいという構造になっているということです。

 この手の年配男性のクレーマーが厄介なのは、何か解決したい問題があってクレームを入れているのではなく、単に説教をしてやろうという気持ちからクレームを入れている人が少なくないということです。中には本気で「サービスの悪い店員を指導してやっている」と思い込んでいる人までいると言います。こういった勘違客を相手にしなければならない店員のストレスは相当なものです。

 また、これは男性に限った話ではありませんが、高齢になると人間は認知機能が衰えて感情抑制が難しくなると言います。つまり、歳を取ると怒りっぽくなるのです。年配の客が店員を怒鳴りつけている光景をよく見かける背景には、そのような生理的な背景もあります。

 さらに別の背景として、老後の孤独を紛らわせるために店員に突っかかっている年配客も中にはいると言います。既に会社は定年退職し、今ではもう何の役職もなく、家庭では邪魔者扱いを受けている――そういう人でも、飲食店に言って「客を何だと思ってるんだ!」と怒鳴り声を上げれば、店員は神妙に頭を下げてくれます。意識的にではなくとも、このことが快感になってしまっているのでしょう。とんでもなく迷惑な話です。

 本来であれば、年齢を重ねているということはそれだけ人生経験を積んでいるということなのだから、周囲に迷惑をかけないぐらいの分別はついていてほしいものです。ところが現実には、他の善良な客や店員に迷惑ばかりかけている困った年配客はたくさんいます。

 今後、日本社会の高齢化はますます進んでいきます。何か抜本的な対策を取らない限り、困った年配客は今後も増え続けるでしょう。いたずらに世代間の対立を煽ることはしたくありませんが、サービス業の現場を崩壊させないためにも、年配の方々には年齢にふさわしい紳士的な振る舞いをしていただきたいと思います。

 

発売中の新刊ですが、先程見たら、Amazon上で数ページですが中身が確認できる状態になっていました。また、帯の画像も掲載されるようになったみたいです。

 

本屋が閉まっているので立ち読みできないという方も、ぜひ見てみていただければと思います。