ホリエモンこと堀江貴文氏による小説。彼が収監される前に発売されたもので、出版はもう3年ぐらい前である。最近になって文庫化された。旬は過ぎてしまったように思えるのだけど、この前読んだらとても面白かったので一応紹介しておきたい。
- 作者: 堀江貴文
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2013/04/05
- メディア: 文庫
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正直なところを言うと、読む前はそれほど期待していなかった。「そういえば、こんなのも出てたなぁ。一応、読んでおこうか」という感じで手にとった。これがいい意味で期待を裏切られ、気づいたら翌日朝早く起きなければならないのにも関わらず、一気に読んでしまった。
本作は小説なので基本的にはフィクションなのだが、かなりの部分で堀江氏の体験が散りばめられている。堀江氏といえば近鉄バッファローズ買収、ニッポン放送株買収、そして証券取引法違反容疑による逮捕の話は避けては通れないが、これらの話も当然ながら小説の中に織り込まれ、物語の中核をなしている。どこまでが事実で、どこからがフィクションなのか考えてみると結構面白い。
僕も昔は一応会社を経営していたことがあるのだけど、その頃の経験がオーバーラップしてなんだか懐かしい気持ちにもなった(もちろん僕は金持ちになって六本木ヒルズに住むこともできなかったし、球団を買収することも、あるいは警察に逮捕されることもなかったのだけど)。「自分で事業をやる」ことのワクワク感や、ヒリヒリ感がとてもよい感じに伝わってくる。これを読んだら、またもう一度自分の会社をやりたいなという気持ちが少しずつ沸き上がってきた。
文章は、さすがに本職の小説家ではないので、言ってみればライトノベルのようなのだけど、それがまた読みやすくてとてもよかった。本書には、とにかく疾走感がある。随所に散りばめられてある、ビジネスのヒントのような話も決して悪くない。
もっと早く読んでればよかったなぁ、と思った一冊である。 未読で食わず嫌いをしている方は、読んでみるとよいと思う。