脱社畜ブログ

仕事観・就職活動・起業についての内容を中心に、他にも色々と日々考えていることを書き連ねていきます。

無理して日経新聞なんて読まなくていい

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社会人になったら日経新聞を読め、とか、就職活動をするなら日経新聞は読んでおいたほうがいい、といった不思議な意見を言う人がいる。朝日や読売を毛嫌いしているのに、日経新聞にだけはなぜか寛容な人もいる。こうやって日経新聞に絶大な信頼を寄せている人たちを見ると、日本にはある種の日経新聞信仰があるんじゃないか、と思ってしまう。

確かに、日経新聞は、経済ニュースを中心に扱っている新聞メディアの中ではもっとも大きく、純粋にビジネスニュースを収集する媒体としては、それなりに便利なのも事実である。ただ、絶大な信頼を寄せるのは危険きわまりないと僕は思う。日経新聞には、実際あやしい記述も多い。

具体的に、今、世間を賑わせているニュースを例に考えてみよう。以下は、日経新聞社のWebサイトに載っていた記事だ。話題になっていたので、読んだという人も少なくないと思う。

米ジンガ、日本などの開発拠点を閉鎖へ

シリコンバレー=奥平和行】交流サイト(SNS)を通じて遊ぶソーシャルゲームの最大手、米ジンガは23日、日本などの開発拠点を閉鎖すると発表した。世界で150人程度の社員を減らす見通し。同社はスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)への対応の遅れなどから業績が低迷しており、拠点の統廃合や人員削減を通じてコストを圧縮する。

同日にマーク・ピンカス最高経営責任者(CEO)が社員に書簡を送り、リストラ策について説明した。同日に米マサチューセッツ州の拠点を閉鎖したほか、米テキサス州の拠点でも人員を減らす。国外では日本と英国の拠点を閉鎖する方針。ジンガの社員は現在約3000人だが、このうち5%程度が削減対象になる。ジンガは2010年にゲーム開発のウノウを買収し、ジンガジャパン(東京・渋谷)を設立した。日本では約50人の社員を抱えてスマホ向けゲームの開発を手掛けているが、この拠点を閉鎖する。全社員を解雇する方向だ。同拠点の閉鎖により日本における業務を全面的に終えるが、ゲームの利用は可能という。

ジンガはソーシャルゲームの最大手で、2011年には鳴り物入りで株式を上場した。ただ、パソコンに比べて画面が小さく課金が難しいスマホが急速に普及しているほか、パソコン向けゲームでも無料でゲームを楽しむ利用者が多く収益拡大に苦戦していた。新作ゲームの開発の遅れやM&A(合併・買収)による費用拡大も収益を圧迫していた。

株価は上場直後から公開価格の10ドルを下回って推移し、現在は2ドル台前半まで落ち込んでいる。幹部級を含む社員も相次いで流出しており、最近は経営の厳しさが目立っていた。24日には7~9月期決算の発表を予定しており、この場でピンカスCEOらが再建策について説明する見通しだ。

強調は日野瑛太郎)



僕がこの記事の主張があやしい、と指摘したいのは下線太字の部分だ。この記事を書いた記者は、ジンガ低迷の理由として「パソコンに比べて画面が小さく課金が難しいスマホが急速に普及している」という事実を挙げているが、業界に詳しい人なら、この記述に違和感を感じるのではないだろうか。スマホが急速に普及しているのは事実だが、スマホのほうがPCに比べて課金が難しいというのはあまり聞かない主張である。App StoreGoogle Playを見てみると、スマホの課金がPCに比べて難しいとは到底思えない。逆にPCからスマホになって、デジタルコンテンツに課金がしやすくなったという人だってたくさんいるはずだ。スマホだから課金が難しい」というのは意味不明である。

この記事はあくまで一例で、日経新聞には実際にその業界で働いている人が見ると、どうもヘンテコに思える記述が含まれていることが多い。これはある意味、仕方のないことでもある。記事を書いている記者があらゆる業界に精通しているというのはどう考えても非現実的なので、伝言ゲームの要領で、記事にところどころ変な記述が混入するのはやむをえないのかもしれない。だから、読み手にはある程度そのことをわかった上で、内容を全部鵜呑みにしないで読むという力が求められる。

そういう意味で、僕は業界知識が浅い就活生や新入社員が、いきなり日経新聞を読むことはおすすめしない。これは英文法や英単語もろくに知らない状態で、ひたすら英語を聴きまくるというのに似ていると思う。もし、その業界や経済に詳しくなりたいという意思を持っているのだったら、最初にやるべきことは日経新聞を読むことではなく、業界の研究本を読んだり経済一般について学ぶことだ。あやしい情報の取捨選択は、こういった前提知識がないと不可能である。日経新聞はあくまで応用問題だ。

ただ漫然と、社会人だから、就職活動だから、という理由で日経新聞を面白くないけど我慢して読んでいるという人がいるとしたら、それは考えを改めたほうがいいかもしれない。日経新聞の購読料は決して安くはない。月に日経新聞の購読にかかるだけのお金を、他の書籍に振り向けたほうが、身のある勉強ができる可能性は高い。

日経新聞を読むのが楽しい、という人は続けて読めばいいと思うが、面白くもないのに我慢して読んでいるという人は、思い切って読むのをやめてみてはいかがだろうか。

 

経済のことよくわからないまま社会人になってしまった人へ

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