脱社畜ブログ

仕事観・就職活動・起業についての内容を中心に、他にも色々と日々考えていることを書き連ねていきます。

「バカが可視化される時代」とどう向き合うか

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ローソン、バーガーキングあたりまでは静観していようと思ったのだけど、次から次へと出てくるので、例の飲食店従業員twitter炎上問題について考えたことを少し書いておこうと思う。ただ、困ったことに「こうすればいい」という結論は出せなかった、ということを先にお知らせしておく。この問題は結構難しい問題だと個人的には思う。

 

多くの方はご存知だと思うが、一応経緯を書いておく。最近、飲食店の従業員(主にアルバイト)が冷蔵庫に入るとか食品の上に寝っ転がるとか、一言で言えば「バカな」悪ふざけをして、それをtwitter上で写真付きで暴露したために炎上、という流れが相次いでいる。店舗側の被害は甚大で、中には一時休業に追い込まれる店舗もあったそうだ。

 

この事件を、「最近の若者の倫理観破綻はひどい」と見るのはおそらく正しくない。こうやってなんでも最近の若者の問題に帰着させるのは簡単だが、それではその先には進まない。若者の中にこういった「バカな」悪ふざけをする人は昔から一定数いたはずで、別に今になってはじまったというわけではないだろう。たぶん、twitter登場以前から冷蔵庫に入ったり、食品で遊び、写真を取って喜んでいた従業員は同じぐらいいたはずだ。ただ、そういった写真は、昔は仲間内だけで共有されていた。これは想像だけど、たとえばmixiの非公開日記あたりには、この手の「仲間内の悪ふざけ」的な投稿が今も昔も山ほどあるのではないかと思う。

 

実態は今も昔も特に変わりがないのだけど、今までは隠されていて見えなかった部分がtwitterによって見えるようになってしまった。見えてしまった以上は、店舗も放置するわけにはいかない。そういう行為に及んだ従業員は適切に処罰しなければならないし、店舗も休業して消毒などの処置をしなければ、企業イメージが保てない。それでプレスリリースが出たりして、問題が大きくなっている。現象面だけたどると、こういうことになるのかなと思う。

 

一言で言えば「バカが可視化される時代」になってしまったということだ。このような時代にどう対処するべきか、色々と考えてみたのだけどこれは結構難しい。

 

ひとつの主張として、飲食店で悪ふざけをする店員は今も昔もいたのだから、それが見えるようになったからと言って特別騒ぎ立てるべきではない、というものが考えられる。低価格サービスの実態が明らかになったのだから、それは「そういうもの」と消費者が受け入れるべきだ、というような主張もネットのどこかで読んだ。

 

ただ、現実には見えてしまったものを無かったことにする、というのは難しい。世の中には、知らなければ対処しなくていいが、知ってしまった以上は対処しないとメンツが保てないということがたくさんある。飲食物を扱う企業が、この状況を開き直ってスルーするというのは現実的ではない。正直、企業側はスルーできるならスルーしたいと思っているだろうけど、日本のように建前を重視する社会で企業活動を行う以上、この手の開き直りは不可能だ。

 

目をつぶることが出来ない以上、次にすべきはこのようなことが置きないように教育を施す、ということになる。しかし、この教育というのが一筋縄ではいかない。教育の効果は、100%にはなりえないからだ。「冷蔵庫に入るのはやめましょう」「飲食物の上に寝てはいけません」と幼稚園生に施すような教育をいくらしたところで、バカな悪ふざけに身をやつす輩は残念ながら一定数は出てきてしまうと思う。そして、そういうバカをtwitterは無慈悲にも可視化する。その可視化によって、店舗は甚大なダメージを受ける。たった一人教育できなかったというだけでも、このような事故は防げないのだ。

 

となると、残るは厳罰による対処ということになる。twitterにこの手のバカな悪ふざけの証拠をアップすると大変なことになる、ということが彼らにも知れ渡れば、ある程度は抑止効果があるはずだ。

 

しかし、現実にはどうもそういうわけにはいかないらしい。今回、問題を起こした従業員たちはおおむね厳正な処分を受けているが、それでも次から次へと似たような事件は起こり続けている。どんなに炎上しようと、彼らのコミュニティにその情報は届かないということだろうか。

 

他にもあれこれ考えたが、残念ながら「こうすればいいのでは」と自信をもって言えるような対処法は思いつかなかった。何をやってもこの手のバカは0にはならないだろうし、そういうバカに対して日本社会が寛容になれるとも思えない。この手の事件はまた何度も何度も起こり続ける気がする。

 

もうこうなったら、twitter(を含む炎上の危険があるソーシャルメディア全部)を免許制にするしかないのかもしれない。今回の事例から、ソーシャルメディアはたったひとりだけの力で企業イメージを毀損させ、店舗を休業に追い込むだけの力があることが判明した。これは、刃物並みに危険な代物だと言わざるをえない。知識の無いものに使わせるには、危なすぎる。

 

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