脱社畜ブログ

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年収100万円の豊かな節約生活術:豊かさとは何かを考える

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労働から自由になろう、と思った時に取る道は大きく2つある。1つは、生涯賃金相当の金を一気に稼いで早期にリタイアする方法、もう1つが、生活費を極力抑え、生きるのにかかるお金を少なくすることで生涯に稼がなければならないお金を減らす方法だ。

 

今日紹介する『年収100万円の豊かな節約生活術』(山崎寿人)は、もっぱら後者に主眼をおいた本である。タイトルだけ見ると、世の中に氾濫している節約本の類のように見えるかもしれないが、本書は「豊かさ」とは何か、を考える上で非常に参考になり、巷の節約本とは一線を画していると言えるだろう。

 

年収100万円の豊かな節約生活

年収100万円の豊かな節約生活

 

著者である山崎さんは、東京大学経済学部を卒業後、酒類メーカーに就職し、いわゆるエリートサラリーマンとしての忙しい日々を送っていた。しかし、30歳になり突如酒類メーカーを退職し、その後2年ほどは政党の立ち上げや友人経営の会社のスタッフなどにも関わるが定職につくことはなく、そのまま20年間の無職生活(本人曰く、プータロー生活)に入った。現在(本書刊行当時)は51歳である。

 

収入は両親の残してくれた不動産収入が年100万円ほどあるだけで、主にその範囲内でやりくりをして生活している。本書は、そのやりくりの方法を扱った本なのだが、巷の節約本と違うのは、山崎さんが生活の「豊かさ」にこだわっていることである。

 

例えば、山崎さんの作る料理は、プロ顔負けの出来栄えである。本書の真ん中あたりに、山崎さんの作った料理のレシピとカラー写真がついているのだが、あまりにも美味しそうで驚く。思わず、僕も料理を始めようかと思ってしまったぐらいである。これらの料理について、山崎さんは「節約しようと思えばもっと節約できる」と書いている。しかし、それは行わない。かけるところにはしっかりお金をかけて(調味料、スパイスなどはプロと同じもの使用している!)、節約するところは節約する。「豊かさ」を失わないために、投資対象の「選択と集中」をしているのだ。このやり方は、企業経営と同じである。

 

参考にすべきは、山崎さんが節約よりも「ストレスを溜めないこと」を上位に置いていることである。例えば、基本的には「食べたいもの」があればそれに従うように献立を決めるし、時にはどうやっても自宅で作れない料理を食べるために外食だってする。ネットを探せば、山崎さんの写真が転がっているが、その笑顔からは幸せが伝わってくる。ストレスを溜めない、という現代人が最も苦手とすることを、年収100万円で実現している人がここにいるのである。

 

世の中には、山崎さんの何倍もの年収がありながら、不幸そうな人たちがたくさんいる。満員電車で通勤したり、毎日深夜まで残業したりしている人たちは、毎日が楽しいと言えるだろうか。「社会人、超楽しい!」と断言できる人は別にそれでいい。しかし、実際には、そういう人は稀少だろう。お金を稼ぐために、日々の楽しさを犠牲にしてしまっている人が、この日本にはあまりにも多いと僕は思う。

 

本書は、「豊かさ」の基準が、必ずしもお金だけでないという当たり前のことに気づかせてくれる。お金を稼いでも稼いでも、幸せになれる気がしないという人は、読んでみてはいかがだろうか。