脱社畜ブログ

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ネットの「ゴミ医学情報」をそろそろ何とかすべき

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こちらの記事を読んで。

 

【速報】Google「被リンクからオーサーランクに移行する」SEO業者全滅か!? | 面白ニュース!netgeek

 

とっても有名な話だけど、Googleの検索結果はそのページの「被リンク数」に基づいたページランクと呼ばれる仕組みによって順位付けがされている。実際にはそれ以外の情報も考慮しているのだろうけど、根幹にあるのはこれだ。被リンク数が多いということは、それだけみんなに参照されているから有用な情報だろう、という推定がこのアルゴリズムを支えている。上の記事は、そんな検索結果表示のアルゴリズムを被リンク重視のページランクから、著者の信頼度重視のオーサーランクに移行するというもので、サイト運営者にとってはなかなか衝撃的なものだ。

 

Googleの検索結果表示アルゴリズムが変更されるたびに、SEO業者が全滅するとかブログで収入を得る道はやっぱり安定しないとかそういう話が出てくるのだけど、今回はそういう話は横に置いておく。オーサーランクに移行するのであれば、それによる改善を大きく期待したい分野がひとつある。それは「医学系の情報」だ。

 

たとえば、Googleで「アトピー性皮膚炎」の情報を検索したとする。色んなページが出てくるのだけど、その中にはかなりあやしげな情報が混じっている。さんざん従来型の治療を叩いた後に高価な化粧品やクリームを購入するように誘導したり(要はアフィサイト)や、出所不明の情報をひたすらに真実であるかのように綴り続けたブログが普通に上位表示されていたりする。

 

これらの内容を鵜呑みにして、それを自分のブログで書いたり、NAVERまとめでまとめたり、Q&Aサイトで回答として書き込んだりする人がいるので、あやしい情報はますます拡散する。さらには、これらの情報をアフィリエイトの商品を売るために積極的に利用する人もたくさんいるので(これはもはや犯罪に近い悪行だと思う)、ゴミはどんどん広がっていく。今やアトピー性皮膚炎に関しては、ネットは信頼性の著しく低い「ゴミ医学情報」で溢れかえっている。

 

権威のある専門家よりもみんなに支持されるコンテンツを重視しようというGoogleページランクは、「権威に囚われないネットの面白さ」づくりの重要な担い手だったとは思う。今でもこの思想が有効に機能するような分野はあると思うし、そういう意味ではオーサーランクへの全面移行があらゆる意味で望ましいとは言いづらい。ただ、医学情報のような分野では、やはり「素人の多数決」では秩序が保てない。健康に関わる情報で「面白さ」とか「センセーショナルかどうか」が重視されるのはマズい。真剣に人の「生き死に」が関わってくる。部分的にでも、オーサーランク主体の仕組みづくりは必要なのだと思う。

 

最終的にはやはり、ネットの情報を鵜呑みにしないだけのリテラシーを身につけられたら一番いいのだろうとは思う。個人が何の校閲も経ずにコンテンツを公開できるネットの信頼性が、著しく低いことはあたりまえだ。最初からそういうものとしてネットの情報には接する必要がある。ただ、どうもこんなふうにカジュアルにあやしい医学情報が拡散していく様子を見ていると、「ネットの情報を鵜呑みにしないようにしましょう!」とアナウンスするだけでは足りない気がする。どうすればいいんでしょうね。

追記(2014/05/15 10:54頃)

冒頭で挙げた元記事の訳はあまり正しくないとのことです(こちらなど参照)。もっとも、本エントリの趣旨はGoogleの検索アルゴリズムの未来について論じるものではなく、ネットのゴミ医学情報をどうにかしてほしいというものなので、エントリ自体はそのまま残しておきます。

 

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