就職活動は基本的にくだらない。このブログでは、ことあるごとに、この事実に触れてきた。
日本の就職活動は、新卒至上主義も相まって、学生・大学・企業と就職情報会社が演じる茶番劇と化してしまっている。今日、紹介する『就活のバカヤロー』(石渡嶺司・大沢仁)は、そんな「大いなる茶番劇」の構造を、取材やデータを元に解き明かした本だ。2008年11月発売の本だが、状況は当時とほとんど変わっていない。
- 作者: 大沢仁,石渡嶺司
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/11/14
- メディア: 新書
- 購入: 11人 クリック: 325回
- この商品を含むブログ (190件) を見る
本書は、学生、大学、企業、就職情報会社といった就職活動を構成するプレイヤーごとに1章ずつ割いて、実情と、その歪みについて面白くまとめてある。以下に、目次を載せる。
特に5章は、現代の就職活動の全体像を知る上で有用だ。リクルートや毎日コミュニケーションズが就職活動に対して果たしている役割は知っておいて損しないし、ビジネスという観点から就職活動を見ると純粋に面白さもある。就職産業というものをざっくり理解するのに、この章は非常によい教材となる。
僕は、この本をぜひ就活生に読んでもらいたいと思う。『絶対内定』や『面接の達人』のような就職マニュアル本は読まなくていいから、この本は読もう。自分が今直面している就職活動というものが、どのような構造になっているかを知ることは上辺だけの面接対策や自己分析、エントリーシートの書き方を学ぶのに比べてはるかに意味がある。いわゆる就職マニュアル本と違って、学生にベッタリでない分、真実を知ることができるだろう。
もちろん、すでに就活を終えてしまった人や、そもそも就職する気が無い人にも、本書はおすすめできる。日本の就職活動が、各所で歪んで変な感じになってしまっているということは、誰もが知っておいてよいことだ。
本書に対して、ところどころ、筆者らの荒っぽい私見が目立つという意見がある。これは確かにそのとおりだ。僕も、筆者らの主張に全面同意はしかねる。例えば、無意識下の就活というのがどれほど役に立つかは正直結構あやしいと思う。親戚付き合いが就職に効く、というのも本当か?と思わずにはいられない。
それでも、本書は一読の価値ありだと思う。就職マニュアル本の変な精神論に汚染される前に、一度目を通しておくことをおすすめしたい。